マレーシアの特番ロケにて(左から出川、松村邦洋)
「俳優・出川哲朗」は、山田洋次監督がメガホンをとった『キネマの天地』(1986年)にも撮影所員役として出演している。そこで出川と出会ったのが、女優として活動していたエド・はるみだった。エドが当時をこう振り返る。
「出川さんはとにかく声が大きくて、存在感がありました。山田監督にも物怖じせず、よく響く声で『カントク~!』と。もちろん、礼儀もちゃんとした上で、ですよ」
2人は料理番組『エンジョイセルフクッキング』(1986年、フジテレビ系)でも共演した。
「その収録前に『エドちゃん、負けないよ~』と言われて(笑)。でも、今思えば若くてかわいいなと。みんなこれから有名になってお芝居で食べていくぞと夢に溢れていましたから。一つ一つのチャンスを次に繋げていきたいという熱い思いから出た言葉ですよね。
あとでご本人も『自分は絶対に売れると信じていた』と仰ってましたが、『時間がかかっても絶対にいつか売れる!』という気持ちは私も大事だと思っていて。一緒だね、と話したことがあります。同じ気持ちを持ち続けた同志ですね」
『男はつらいよ』シリーズに5作続けて出演したものの、いずれもチョイ役。役者としてパッとしない出川を尻目に、先に大ブレイクしたのはウッチャンナンチャンだった。
(第2回につづく)
※週刊ポスト2022年7月1日号