スポーツ

蛯名正義氏が考える「返し馬と馬券検討」 記録に現われない記憶を積み重ねる大切さ

2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした蛯名正義氏

2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした蛯名正義氏

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、返し馬と馬券検討についてお届けする。

 * * *
 前回、返し馬はジョッキーにとって大切な時間だということをお話ししました。テレビの競馬中継では、返し馬をじっくり放送することはないので、これを見られるのは競馬場へ行った人だけの特権です。実際に走る姿が見られるわけだから、間違いなく見たほうがいいと思います。馬券の発売締切まであまり時間がないけれど、いまはコース前にいながらネットで買うこともできますしね。

 では、返し馬をどう見ればいいでしょうか。

 競馬予想は過去の記録からその馬の傾向を読み取る一方、記録には現われない記憶が重視されるゲームのようなところがあります。なので、その馬の前走の返し馬の様子がどんな感じで、どんな結果だったかを比較していければ、こんなに頼りになるデータはない。大事なお金を賭けて馬券をずっと買い続けていくつもりなら、自分の印象というデータを積み重ねていくことは武器になるでしょう。「あれ、この前勝った時(負けた時)とは違うな」と気づけば、それは馬券検討の重要なファクターになるはずです。

 もちろん競馬場にいてもすべての馬の返し馬を見ることはできない。それでもパドックで気になった馬や、ずっと追いかけている馬、もちろん個人的にファンだという馬なら見続けられるはず。競走馬についてはとにかく点ではなく線で見てみること。重賞クラスの馬だけでも見続けてみれば(何らかの形で記録しておけばなおさら)自分だけのデータベースになります。

 僕らは勝つために自分が管理する馬を日々じっくり観察し、体調の推移について把握します。ファンはその結果をまずパドックや返し馬で見て、さらにレース結果を踏まえて馬のことを知ればいい。いろいろな厩舎の馬を知って比較することが、ギャンブルでの“勝利”につながるのではないでしょうか。

 パドックではちょっと落ち着きがなかったけど、馬場に出たら堂々として、沈み込むようないいフォームで走り出したりするかもしれません。その馬はきっと狭苦しいパドックが好きじゃないのでしょう。ちらちら物見をしたり、尻っぱねをしたりというしぐさの一つ一つに意味がある。馬が何らかのメッセージを出しているということです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン