田中邸前でロッキード事件で再釈放された角栄を待つ橋本龍太郎氏ら「田中軍団」(写真/共同通信社)
今や派閥はあるべき力を失い、政治から緊張感が消えた。何よりも政治家に人間としての魅力がなくなった。
田中派の全盛期を知る衆院議員の中村喜四郎・元建設相が指摘する。
「当時の政治家は国を動かすとの高邁な使命感を持ち、白熱した議論を行いました。日本の問題を解決するために混乱を恐れなかったのが田中派の面々でした。特に田中さんは日中国交回復やエネルギー問題などの扉を自分で開き、外国要人とやりあった国士でした。
今の政治家からはそんな気概を微塵も感じません。国民は愛想を尽かし、田中さんが総理の時に70%を超えた投票率は55%まで下がりました。50年経っても田中派が話題になるのは、現在の日本の政治に対する異議申し立てなのでしょう」
時は参院選。かつて田中軍団が持っていた気概を感じさせる候補は現われるのだろうか。
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2022年7月8・15日号