DSC細胞の培養
坪井院長は2016~2019年に探索的臨床研究を実施。細胞を低容量、中容量、高容量の3群に分け、安全性と有効性を検討したところ、総毛髪密度と積算毛髪径(全毛髪の直径の合計)は6か月及び、9か月時点において低容量群で有意に増加した。
「最も効果があったのは51歳以上の中等度脱毛の方です。AGAは毛包の元気がなくなり、発毛サイクルの乱れで起こります。DSC細胞が高容量では毛包への取り込みが適切に行なわれず、かえって細胞障害を引き起こす可能性があります。その点、低容量の細胞濃度の治療効果が高かったことから、より広い範囲での脱毛部位に注入可能となりました」(坪井院長)
次の臨床試験は10センチ四方の広い部位にDSC細胞を注入し、毛髪が増えたかを確認する。心配な方は一度、皮膚科(毛髪専門外来)で受診を。
取材・構成/岩城レイ子 イラスト/いかわやすとし
※週刊ポスト2022年7月22日号
坪井良治・東京医科大学名誉教授で西新宿サテライトクリニック院長