押収された山上容疑者の軽自動車(時事通信フォト)
2005年に自衛隊を辞めて以降、山上容疑者は宅地建物取引士や、ファイナンシャルプランナーの資格を取得しながら、職を転々とした。
その頃、2006年に第1次安倍内閣が発足。安倍氏は体調不良のためわずか1年で辞任するが、2012年の衆院選で自公が勝利し、第2次安倍内閣が発足すると、それから7年8か月、歴代最長となる政権が続いた。安倍政権の経済政策「アベノミクス」は結果として、正規雇用と非正規雇用、富裕層と貧困層などの格差を拡大させていく。
犯行直前の今年5月まで、山上容疑者は派遣社員として、2020年秋から京都府内の倉庫で運搬作業に従事していた。暮らしていたのは、家賃3万5000円、6畳の単身者用ワンルームマンション。幼少の頃の裕福な暮らしぶりから見れば、あまりに大きな差だったのだろう。
「真面目で勉強もでき、成績優秀だった容疑者が、大学へ通えず、非正規雇用にあえいだ。苦労する原因となったのが、母親の宗教活動だと認識しているようです。容疑者にとっては、こんなことになった原因は統一教会だと、憎しみが重なっていったのでしょう」(全国紙記者)
裕福だった幼少期から、父の死、祖父を亡くし、母の入信で生活は一変した。貧困と閉塞感の中で、容疑者の目に映ったのは、安倍政権のもとで拡大した格差社会。光明も見えず、鬱屈した気持ちばかりが募っていった。それが安倍氏に向けられた、手製の銃に込められていた“銃弾”だったのか──。
※女性セブン2022年7月28日号