四股名の入ったボールペンは、現役の横綱・大関陣に加え、宇良や遠藤ら人気力士のものが並ぶ。そこでも白鵬のグッズが並んでいるのだ
なぜ、大量に残っているのか?
通常なら引退力士のグッズはすでに廃棄処分をしないといけないタイミングのはずだが、コロナ禍の影響で今も販売ができるのだという。「在庫処分ができますね」と聞くと、この責任者は苦笑いした。ただ、白鵬のグッズの売れ行きは悪くないのだという。
「やはり白鵬は人気があるからね。今の横綱、大関と違って強かったから……」(販売員)と今場所の大混戦という状況も追い風になっているようだが、協会関係者のひとりが舞台裏を教えてくれた。
「同じく引退して髷がついている元横綱・鶴竜(現・鶴竜親方)のグッズは在庫がない。もともと現役を退いた力士の引退相撲のお土産用に買い取ってもらうことが多いが、もう引退が近いだろうという先の見えた横綱や大関のグッズは追加生産しないんです。白鵬も6場所連続休場をした頃(2020年7月場所~2021年5月場所)にグッズの生産を中止した。
そのため、土俵に戻ってきた昨年の7月場所では応援タオルが3日目に売り切れてしまった。ところが、その7月場所で45回目の優勝を全勝で飾ったのです。白鵬が復活し、照ノ富士との2人横綱で大相撲を再び引っ張っていくという期待もあり追加生産した。ところが、9月場所は所属する宮城野部屋に感染者が出て全休に。そして11月場所前に突然の引退を表明した。その結果、大量の在庫が生じてしまったのです」
そうして多く余ったグッズだったが、コロナによる引退相撲の延期で順調にさばけているというのだ。
「お客さんの中には在庫処分なら安くしてほしいという人もいるが、“もう製造しないので在庫限りです”と言うと、ほとんどのお客さんは買っていきますね。やはり白鵬は人気があります。なかなか満員御礼とならないなか、助かっています」(同前)
もちろん、売り場には不祥事での6場所出場停止処分を経て今場所から復帰し、三段目の取組で午前中に登場する朝乃山のグッズは置かれていない。前出の関係者によれば「幕内復帰は確実なので、それまで倉庫で眠らせている」という。不良在庫にならないことを祈りたいが、やはり不甲斐ない土俵を続ける大関たちが復活しなければ、「脱・白鵬」は実現しないのだろう。