スポーツ

祝優勝・逸ノ城 「勝ち越し」を願った七夕の短冊が「がちこし」に、それでも思いは伝わった

入門から8年で、ついに悲願だった優勝を果たした逸ノ城(時事通信フォト)

入門から8年で、ついに悲願だった優勝を果たした逸ノ城(時事通信フォト)

 大相撲名古屋場所で悲願の初優勝を成し遂げた逸ノ城。優勝インタビューでは、モンゴル出身の逸ノ城のぎこちない日本語が初々しく、純朴そうな人柄が表われるコメントぶりに、会場の観客は沸き、拍手を送った。会場となったドルフィンズアリーナには、関取以上が自筆で短冊に願いを書き込む恒例の「七夕飾り」が設置されていたが、大願成就となった逸ノ城の書いた短冊には、ちょっと「?」な文字が――。

 7月10日に初日を迎えた今回の名古屋場所では、関取衆が場所前に願いを込めた短冊が展示されていたが、逸ノ城は「がちこしすること」と書いていた。「勝ち越し」が平仮名で、かつ「か」の文字が「が」になっていた。結果は勝ち越しどころか12勝3敗で優勝という最高の結果を手にした。

 今年29歳になった逸ノ城が来日したのは2010年のこと。照ノ富士、水戸龍と同じ飛行機で日本に到着し、相撲強豪校として知られる鳥取城北高に入った。当時は16歳だった。高校卒業後は同高の相撲部コーチを務めながら、2013年に全日本実業団選手権で個人優勝。

 翌2014年初場所では、外国人力士初となる幕下15枚目格付け出しでデビューした。史上2位タイの初土俵から4場所で新入幕を果たし、史上最速の5場所で新三役(関脇)に21歳で昇進。今回の初優勝は新入幕から所要47場所で、歴代9位のスロー記録。入門から8年、来日から12年経っている。

 師匠の湊親方(元前頭・湊富士)に聞くと「難しい漢字は除いて、平仮名、片仮名、漢字もすべて読み書きできます」ということだった。実際、入門1年目の2014年12月に開かれた「関脇昇進を祝う会」で、大ブレークとなった1年を表わす漢字を色紙に求められると「逸」とペンを走らせていた。そこでは、「自分の四股名であり、逸材の“逸”なので大好きです」と答えている。

 もちろん関取は手形を押した色紙に筆で四股名を書かないといけない。今回の短冊を見ても、「勝ち越し」は漢字ではなかったが、四股名の「逸ノ城」はしっかりと漢字で書かれていた。

 会場の短冊を見ていくと、モンゴル出身の千代翔馬が「けがをしないように」、ブルガリア出身の碧山が「かちこせるようにがんばります」とやはり平仮名で書いていた。一方、逸ノ城と同じモンゴル出身力士でも玉鷲は「優勝」、霧馬山は「また二ケタ勝ちます!!」、大翔鵬は「幕内!!!」、東龍は「優勝します」と漢字も使っている。ジョージア出身の栃ノ心は「世界平和」と漢字で書いたが、こちらは自分の四股名の漢字がだいぶ崩したような文字になっている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト