国内

「助けてあげなきゃ」女性たちがコロナ禍にホストクラブで大金を撒く理由

夫がいても、貯金が底をついてもなぜ大金を撒くのか

夫がいても、貯金が底をついてもなぜ大金を撒くのか(写真はイメージ)

 新型コロナがまん延するなか、売り上げが伸びたホストクラブもあったという。深夜の繁華街の主役は、かつての「夜王」ホストたちから、「ホス狂い」の女性たちに変わった。ネオンの下で繰り広げられる宴に、なぜ彼女たちは今日も通うのか。新書『ホス狂い』を上梓するノンフィクションライターの宇都宮直子氏がレポートする。

 * * *
「この人が私の“王子”です」

「ホス狂い」を自称する、ねねさん(仮名・25才)が新宿・歌舞伎町の老舗ホストクラブで紹介してくれたのは、店の売り上げ上位の人気ホスト、紫陽くん(仮名)だ。

 彼は「ぼく、こう見えて結構年がいってるんですよ」と30代半ばであることを明かすが、女優の橋本環奈に似た女性的な顔立ちに、隙のない化粧を施す紫陽くんは、とてもその年齢には見えない。ねねさんは小さな顔をちょこんと彼の肩に乗せ、“王子”の前では恋する女の子に豹変する──。

「ホス狂い」とは文字通り、ホストに「狂う」女性たちのこと。夜な夜なホストクラブで大金を使う彼女たちは、どこか誇らしげに「ホス狂い」を自認する。

 ネオンきらめく夜の街で、ドレスアップしてはしゃぐ彼女たちの姿は最近、世間の関心を集め、ドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(TBS系、2022年4月クール)の主人公のひとりとして描かれたり、ファッション雑誌『LARME』でコーディネートが特集されたりと、ムーブメントも巻き起こっている。彼女たちはなぜ、お金も時間も労力もすべてなげうって、ホストクラブに通うのか。

こんなときだからこそ本当の姫になれる

 新型コロナの感染拡大は止まらず、「第7波」が到来したいま、発熱外来は診察を待つ人々であふれかえっている。だが、歌舞伎町のホストクラブは相変わらずの満員御礼。ねねさんも連日、紫陽くんの隣に座るために、せっせと店に“通勤”していると笑う。そんな街の様子は筆者が歌舞伎町で「ホス狂い」の女性たちに取材を始めた2020年春から変わっていない。

 ワクチンもなく、新型コロナが未知のウイルスであった当時、特に感染者が多かった歌舞伎町はワイドショーなどで「感染拡大の温床」として繰り返し糾弾されていた。実際、2020年6月、歌舞伎町のホストクラブの従業員12人が新型コロナに集団感染した。だが、そんな中でも、店に通う女性たちは引きも切らなかった。マッサージ店で働きながら歌舞伎町に“連勤”するマユミさん(仮名・26才)はこう話す。

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン