小池百合子・都知事は8月21日までを「特別期間」として感染対策の徹底を求めた(時事通信フォト)
米CNNの取材にアルアリー博士は、「高齢者や基礎疾患のある人は特に再感染しやすく、その後に健康上の問題が生じるリスクも高い可能性がある」と語っている。
国際未病ケア医学研究センター長の一石英一郎氏が指摘する。
「高齢者や基礎疾患を持つ人はもともと体が弱った状態でコロナに感染し、さらに体力を奪われます。いったん治っても、体が弱った状態で再び再感染すれば、やはり死亡や入院のリスクが高まると考えられます」
同研究では、再感染後に肺または心臓の疾患や倦怠感、消化器と腎臓の障害、糖尿病、神経系疾患のリスクが高まった。
注目すべきは、こうしたリスクが長引く可能性が示されたことだ。
「同研究によれば、再感染から少なくとも6か月間はワクチン接種の有無にかかわらず、ハイリスクの状態が続きます。このため再感染で発熱して激しく症状が出る急性期だけでなく、本来なら発症から時間が経って症状が落ち着く慢性期にも注意が必要です。つまり2回目の感染は、ある程度時間が経ってもリスクが残る可能性があるのです」(勝田教授)
原因不明の後遺症
コロナは後遺症についても多く報告されている。
厚労省研究班が2020~2021年にコロナで入院した全国1000人を調査すると、3割以上が診断1年後にも何らかの症状を抱えていた。症状では倦怠感が最も多く、呼吸困難、筋力低下、思考力・集中力低下、記憶障害、睡眠障害が続いた。
軽症が多いとされるオミクロン株でも、英国の大規模データベースの分析では、脳の組織に委縮が生じ、アルツハイマー病や糖尿病のリスクが高まる可能性が指摘された。
2回目の感染は、これらの後遺症を悪化させる懸念もある。昭和大学医学部客員教授で医師の二木芳人氏が指摘する。
「コロナに感染して重い肺炎などが生じると、肺機能の低下などの後遺症を残します。それ以外にも心筋炎や血管炎を発症し、循環器系や腎機能に様々な障害を残すこともあります。こうしたリスクを抱える人が再感染すると、それらのダメージがさらに畜積して重症化する恐れはあります。また、最初の感染時に軽症であっても、“体がだるい”といった原因が不明のさまざまな後遺症が残る場合もあります。これらも再感染で悪化する可能性は否定できません」