トレード期限(日本時間の8月3日朝)ギリギリまで注目を集めた大谷翔平(28)の移籍問題。最終的には、引き続きエンゼルスの赤いユニフォームに身を包むこととなった。
今季の大谷はMVPに輝いた昨季に引けを取らない活躍ぶり。特に6月以降は投手としての活躍が目覚ましく、期限が迫るにしたがって報道合戦も過熱。ヤンキースやドジャースなど資金力のある強豪チームの名前をあげて「移籍間近」と報じるメディアもあった。
メジャーでは一流選手の移籍ほど“駆け込み”が多く、「残り1分」での成立も珍しくない。今回の騒動は一流の証と言えるが、最終的にトレードが泡と消えたのはなぜか。大リーグ研究家の福島良一氏が語る。
「最大のネックとなったのが、大谷がFA(フリーエージェント)の資格を取得するのが『来年のオフ』だということです。トレードで獲得する球団はせっかくチームに引き入れてもFA流出を防ぐため、年平均60億円と言われる大型契約を結ぶ必要がある。それが足枷になったのではないか」
とはいえ今季中のトレードが見送られても、今後も移籍市場の注目の的であることに代わりはない。次のトレードは最短だと今オフとなるが、福島氏は「年内の可能性は低い」と読む。
「当然、シーズン終了後も大谷のトレードに関する話題は持ち上がるでしょう。ただ、本命となるのは来年ではないか。大谷はマイク・トラウトと並ぶチームの看板ですから、エンゼルスは最後まで契約延長の交渉を続けるはずです」(福島氏)
残留の一報を受け、好意的な意見が多かったが、「ポストシーズンで戦えるチームで見たかった」と落胆の声も見られた。
「このタイミングでの移籍はプラスとマイナス両面があります。大型トレードを狙うのは優勝争いをするチームですから、高いステージでプレーできます。しかし、そうしたチームは戦力が充実しているためこれまでのように二刀流で毎日出場とはいかないでしょう。
大谷は現状では投手としての期待が高い。例えばヤンキースであれば記録的なペースでホームランを量産しているアーロン・ジャッジとDHの席を争うことになる。とりあえずは残留で良かったのではないか」(福島氏)
来年のFA権取得まで目が離せない。
※週刊ポスト2022年8月19・26日号