スポーツ

元横綱・白鵬、周到すぎる宮城野部屋の「継承」で見えてきた“理事の椅子”

次なるステップは?(時事通信フォト)

次なるステップは?(時事通信フォト)

 元横綱・白鵬の間垣親方が、ついに“一国一城の主”となる。8月に定年を迎える宮城野親方(元前頭・竹葉山)と名跡交換が承認され、宮城野部屋を継承して師匠となった。今回の継承について、「かなり異例なかたちではないか」と協会関係者は言う。

「本来、部屋の継承には莫大なカネが必要。部屋の土地・建物を先代から購入するならその費用がいるし、所属力士だってタダではない。力士たちがいることで協会から養成費や維持費が支給されるのだから、彼らの移籍料を先代に渡すのが不文律。かつて二子山部屋と藤島部屋が合併した時には3億円のカネが動いたとされます。ただ、今回の白鵬はそんなに費用がかかっていないはず」

 現役中から、宮城野部屋に“白鵬の弟子”が数多くいたからだという。

「白鵬は早くから独立を見越し、自分の弟子を確保するルートを構築。周到な準備を重ねてきた。ジュニアの青田買いのために白鵬杯を開催し、高校相撲の名門・鳥取城北高と太いパイプを作った。鳥取城北の監督の出身校である日大にもパイプを持ち、モンゴルからの留学ルートもある。そうやって有望な内弟子を入門させてきた」(若手親方)

 現在、宮城野部屋には17人の力士がいるが、その大半は白鵬の内弟子だ。関取の石浦、炎鵬、北青鵬はもちろん、埼玉栄レスリング部出身の宝香鵬、白鵬杯優勝者で鳥取城北高出身の向中野、白鵬がスカウトした雷鵬、千鵬、高馬鵬、石井、美、絢雄、黒熊らである。

「むしろ先代がこれまで恩恵を受けていた。移籍料みたいなカネはないでしょう」(同前)

 準備万端で部屋持ちの親方になり、「次なるステップは一門の理事」(ベテラン記者)だという。

「伊勢ヶ濱一門の統帥であり、理事の伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)は3年後に定年を迎える。後継理事は親方衆にも人気がある浅香山親方(元大関・魁皇)でしょう。白鵬が狙うのはその次。ただ、伊勢ヶ濱親方は自身の部屋を横綱・照ノ富士に継がせたい意向で、将来的に白鵬vs照ノ富士による理事の椅子争いが起きそう。一門内で支持を広げ理事長を目指すのが白鵬の野望でしょう。部屋持ち親方になったのは、その第一歩」(同前)

 どこまで実現するか。

※週刊ポスト2022年8月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト