それからサブの噂をきかなくなった。コントを持って全国をまわっているともきいたが音信不通。すると浅草の方からとんでもない風の便り。すっかりさびれた浅草で、三郎とたけしという芸人がヤクザをおどかして飲んでいるという。アハハ逆だ。すげぇ奴がまだいるんだなと笑っているといつしかそれがツービートのたけしとコント・レオナルドの三郎だと分かった。野良犬のようなあの時代のあの2人には誰も近づけなかった。
ほどなくして漫才とコントとして世に出た。初めてテレビで見た人たちは「どう見てもカタギじゃないネ」ノーコンプライアンス時代が生んだ浅草の星なのだ。
晩年三木のり平氏ともテレビドラマでご一緒できたと感無量。高倉健、坂本九、ビートたけし、三木のり平。男がほっとけない男なのだ。私も三郎が大好きだ。
※週刊ポスト2022年9月9日号