10月から始まる『科捜研の女 2022』(沢口靖子主演『科捜研の女』の新シリーズ)に、小池徹平が新たなレギュラーとして出演する。近年は俳優としての活躍が目立つ小池だが、ご長寿ドラマの新レギュラーは、彼のキャリアにどんな転機をもたらすのか。ドラマオタクのエッセイスト小林久乃氏が考察する。
* * *
少し前になるが、俳優の小池徹平さんが『科捜研の女 2022(以下『科捜研の女』)』(テレビ朝日系・2022年10月スタート)に出演することが発表になっていた。このニュース、晩夏の蚊に刺されたような違和感を覚えたのは私だけだろうか。
20年以上続く『科捜研の女』といえば、「老舗」「ご長寿」という形容詞がよく似合うドラマである。そこにベビーフェイスの小池徹平が登場……? でもよく考えると彼も36歳で二児の父親。働き盛りの中堅世代だ。今回は俳優として、ベテランゾーンに足を踏み入れていく小池さんへの(勝手な)祝辞として、このコラムを『君に贈るよ』。
『科捜研』は着実なステップアップ
まずは『科捜研の女』についてざっくりと説明したい。このドラマ、あの沢口靖子さんが主演する1999年から現在まで続く、ミステリー作品である。トップ女優であり、お父さんたちの永遠のアイドルの沢口さん。ヤマザキナビスコ『リッツ』のCMが終了した今、彼女の姿を拝むことのできる貴重な地上波放送である。
「誰か一人でもいい。心からつながっていると感じている人ができれば、人は生きていける」「科学は嘘を吐かない」──こんなセリフがさらっと沢口さん演じる主人公から登場してくるのが、個人的にはツボの作品だ。
ドラマの舞台は京都府警科学捜査研究所。研究員の榊マリコ(沢口)が、毎回、科学の知識を駆使して、犯罪を解決していく。今シーズンから登場する小池さん演じる君嶋直樹は、新たに榊の部下になるという流れ。一人娘がいる設定らしい。こんな番組に登場するとなれば、小池さんにとってはとても名誉なことである。視聴者もサブスクが主流の若者ではなく、地上波をこよなく愛してくれる安定の高齢層と変化する。流行り廃りが激しい芸能界で、着実なステップアップではないだろうか。