マンションの一室に母を招き、Aさんと姉の3人で引きこもった。保護説得に詳しい牧師とカウンセラーがマンションに通い、説得を始める。
「毎日、統一教会の教理を解説する『原理講論』と聖書などの真っ当な教典を照らし合わせ、教えがいかにおかしいかを懇々と説きました。当初母は『教会の信者は親切なんや』と牧師さんらを警戒していましたが、約3か月に及ぶ説得で徐々に心変わりした。
母は静かな環境もあってか教団で教えられたことに矛盾を感じ始め、最終的には『騙されてたんや』と口にしました。母の心には統一教会の“ことあるごとにカネ”という姿勢に心が安まらず、それも糸口になったように感じました」(Aさん)
その後、Aさんの母は旧統一教会との関係を断ち、返還請求によって献金の一部も返ってきた。Aさんが振り返る。
「そもそもは多忙な父や家を離れた僕たち子供が、体調のすぐれない母にもう少し関心を持っていればと今では思います。僕と姉は自営業で、長期間仕事から離れて説得に没頭できたのは幸運でした」
※週刊ポスト2022年10月21日号