国内

旧統一教会、脱会までの苦難 元信者家族が証言「なくなった現金は総額6000万円以上」

旧統一教会との関係を断つまで様々な苦労があったという(写真/共同通信社)

旧統一教会との関係を断つまで様々な苦労があったという(写真/共同通信社)

 旧統一教会の信者が行なう高額献金は、その家族にも甚大な被害を及ぼす。信者を脱会させるのは困難を極めるが、そこに立ち向かい説得に成功する家族も存在する。

 大阪府の40代男性・Aさんの母に異変が生じたのは2005年ごろだった。

「母さんの様子がおかしい」。父からの突然の電話に家族が実家に集まり、父親の銀行口座の通帳を開く。預金残高にはゼロと記され、借り入れを示すマイナスの表示がズラリと並んでいた。

「なくなった現金は総額6000万円以上でした。母はぜいたくするタイプではなく、誰かに取られているとしか思えませんでした。慌てて実家の押し入れや棚を調べると、宗教の教典や文鮮明・韓鶴子教祖夫婦の写真、多宝塔、花瓶や宝石が次から次へと出て来た。それを見て、『母は統一教会に献金しているんだ』と、愕然としました」(Aさん)

 Aさんの父は医師で多忙な生活を送り、3人の子供は独立していた。体調がすぐれず臥せっていた母の心の間隙を突いたのが、旧統一教会だった。

「信者が先祖や家系図を持ち出し、『いずれ子供が離婚を繰り返す。家族を守りたいなら、あなたが決めるしかない』と勧誘して、家族思いで情に厚い母に献金や物品購入を迫ったと後から聞きました」(Aさん)

 家族は母を脱会させるための方策を考えたが、話し合いは行き詰まった。

「弁護士の助言で金銭の返還請求をすることにしましたが、問題は母の心をどうすべきか。母は『大変なことをした』とつぶやくもののどこか他人事で、自分の知っている母とは別人のような印象を受けました」(Aさん)

 弁護士からプロテスタント系の牧師を紹介され、まずは母をキリスト教の日曜礼拝に誘い出した。しかし旧統一教会の教えが身についた彼女の信心は揺るがなかった。

 そこで牧師が提案したのが「外部をシャットアウトしての説得」だった。マンションなどに保護して外部との接触を断ち、説得を重ねる方法である。

「体が弱い母が過酷な環境に耐えられるか不安だったし、僕らも一定期間仕事を休んで一緒に引きこもらなければいけない。それでも最終的に『それ以外にない』と決断しました」(Aさん)

関連記事

トピックス

現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《巨人V9の真実》400勝投手・金田正一氏が語っていた「長嶋茂雄のすごいところ」 国鉄から移籍当初は「体の硬さ」に驚くも、トレーニングもケアも「やり始めたら半端じゃない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
フランクリン・D・ルーズベルト元大統領(写真中央)
【佐藤優氏×片山杜秀氏・知の巨人対談「昭和100年史」】戦後の日米関係を形作った「占領軍による統治」と「安保闘争」を振り返る
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン