「早くメディカルスクールに行きたい」
そのためだった。日本の医学部とは違って、アメリカのメディカルスクールは4年制大学を卒業してからでないと入学できない。ソフィアさんの目標は、メディカルスクールで4年間学び、皮膚科医になることだ。
アメリカのメディカルスクールは、日本の大学院の位置づけで、ロースクール(法科大学院)などと同様、職業に直結するプロフェッショナルスクールと言われ、合格するのは非常に難しい。
大学の成績と、MCATという共通テストの点数、そしてアプリケーション(願書)で示される人間性などからトータルに判断して合否が決まるという。
「学業成績はもちろんですが、それ以外にもボランティア活動などをやってきたか、といったことも評価の対象です。今までどんなふうに頑張ってきたか、どんなふうに成長してきたかをアプリケーションで示し、自分を売り込むという戦略がアメリカの受験には重要なんです」(原田さん)
ソフィアさんは、すでに病院のインターンとして勤めたこともあり、医学部入試へ向けて準備中のようだ。
「小さい頃からずっと、自分のことは自分で決めて私にはほぼ事後報告。危険なことでもない限り、本人に任せています」
目標を見極め、自らの努力で実現してきたソフィアさん。見守ってきた母親との信頼関係がうかがえる。
勉強している時は、話しかけても聞こえていない
しかしいったいどうしたら“勉強する子”に育つのだろう?
「私は娘の勉学に関してはノンタッチだったんです。だからこそ、自主的にするようになったのかもしれません。
周りの友だちがみんな塾に行っても、『行きたい』とは言わなかったですね。クラシックバレエとフィギュアスケートを習っていたので、時間のない中、自分で工夫しながらの独学がうまくいったんでしょう」
ソフィアさんは2才半でクラシックバレエを始め、3才からはフィギュアスケートにも本格的に取り組んでいた。しかもバレエは主役級、フィギュアスケートも大会に出るほどのレベルだ。
ソフィアさんはクラシックバレエとフィギュアスケートも大会に出場するほどのレベルだった。学業と両立させ取り組んでいた。
日本ではスポーツの成績が優秀なら勉強がおろそかになっても仕方ない、と優遇されることも多いが、アメリカでは違う。スポーツのために授業を休むことがあれば補習に出るなど、単位をとらなければならない。
「アメリカではスポーツに打ち込んでも勉強は勉強でサボることは許されない。ソフィアさん自身、スポーツと勉強、両方ものすごく頑張ったんだと思います」(原田さん)。
早朝4時起きで4時45分からフィギュアのプライベートレッスン。朝練には武田も付き添い、その後学校まで送る。学校が終わるとそのままバレエのレッスンへ連れて行き、ふたりが家に帰ってくるのは、夜8時過ぎ。
そこから急いで夕食を食べさせて、お風呂に入って寝る。そして翌朝も4時起き、という生活が月曜から金曜まで。
バレエは土曜日にもレッスンがあり、さらに競技会や発表会が入ってくる。そんな怒濤のスケジュールの中、いつ勉強をしていたのだろう。