「よく“友だちみたいな母娘”とか言いますけれど、私は娘と友だちや姉妹のようになろうと思ってはいません。母と娘の関係はあくまで親と子です。
私が娘に対して叱ることはただひとつ、親を見下すようなことを言ったり態度をとったときです。そういった気持ちがあると、学校の先生や上司とか、目上の人をバカにすることにつながっていくと思うんです。それを許してはいけない。
とくに英語では敬語がありませんから、先生でも「ヘイ、トム!」みたいな感じでいいんですけれど、やはり気持ちのうえで上下関係はしっかりさせなきゃいけませんよね」
また、親は公共の場などで子供が騒がないよう、何かと気を遣う。武田は、レストランや飛行機などで幼いソフィアさんが騒がないようにと、さまざまな工夫をした。
「ポイントは、何かちょっとした物を用意しておいて、そのとき初めて見せることです。そうすると子どもは一気に興味を持つでしょう? 飛行機に乗るときなんか、いろいろ小道具を用意して持っていきましたよ。
例えば、紙皿とたくさんのシールを持っていって、『ハイ、お皿作ろう』って紙皿にシールを1枚ずつ子どもに貼らせました。裏表、延々と。紙だから軽いし、落としても割れないし、飛行機の中でも転がらないし、時間がもつでしょう?
高価な物じゃなくていいんです。とにかく飽きさせないように。百均ショップみたいなところに行って、何か工夫できないかなって、よく探したものです」
そんなソフィアさんにも反抗期があったという。
「13才からジワジワきて14才でピーク! 私が何を言ってもギャンギャンつっかかってきて、ご飯も『痩せたいから食べない』とか、とんがったりね。
先輩ママから『まともに口利いちゃダメよ、宇宙人だと思って』なんて言われていたんですけれど、こっちは人間ですから頭にくるわけです。ケンカになったりもしましたよ。
でも子供だって反抗しているのは疲れますからね。いつまでも続けていられません。16才になったら話ができるように戻ったかな。過ぎてしまえば笑って話せるようになりましたけど。やっぱり、相手は宇宙人、くらいに流すことでしょうか。
あとは、自分が14才のとき何を考えていたかなと、思い出してみることですね。私はそのころには仕事をしていましたけれど、『もう自分は大人』なんて思ってたはず。きっと子供もそう思っているでしょうから、その気持ちを尊重してあげるのも大事かもしれません」