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豪雨、火事で逃げ遅れる人の特徴 「みんなと同じなら安全」の考えで見えなくなる危険

台風19号で洪水に遭い、逃げ遅れて消防ヘリに救助される人(2019年、宮城県大崎市、共同通信社)

台風19号で洪水に遭い、逃げ遅れて消防ヘリに救助される人(2019年、宮城県大崎市、共同通信社)

 この時期は台風が増える一方、空気が乾燥して火事が多くなる。そんな災害のニュースが増えてくるなか、気になるのは逃げ遅れる人たちが多くいるということ。いったい、彼らはなぜ逃げなかったのか──。

 スマホが聞き慣れない不気味な音を鳴らし、防災無線からもサイレンが響く。10月4日早朝、北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本上空を通過し、北海道・青森・東京の島しょ部でJアラートが鳴り響いた。しかし、東京都に属する島しょ部・大島町では、指定された避難施設に逃げ込んだ人は誰もいなかった。後にこの地域に危険はなく、誤って発令されたことがわかったが、避難のあり方において課題が浮き彫りになった。

 2017年にもJアラートが発令されたが、当時政府が行ったインターネット調査では「実際に避難した」と答えた人はわずか5%台。一方、「不要と考え避難しなかった」と答えた人は約半数もいた。なぜ人は逃げないのか ──。

西日本豪雨では死者の8割が屋内で発見

 日本各地で紅葉が見頃を迎える秋本番は美しい自然が楽しめる一方、さまざまな災害に対して警戒を強めねばならない時期でもある。秋は台風による洪水、乾燥による火事などが起きやすい。災害はいつどこで誰に起きてもおかしくなく、避難できるかどうかが、生死を分けることになる。栃木県の丸山貴美子さん(46才・仮名)は、台風で堤防が決壊した3年前のことを振り返る。

「行政からの避難勧告がまだないから大丈夫だろうと思っていたら、高校生の息子がスマホで“車が水没した”とか“浸水している”など危険な情報を集めていました。行政の情報が遅れているとわかり、私たちはすぐに避難所に向かったので、難を逃れることができました。

 避難所へ向かうとき、近所の人に声をかけましたが“避難勧告も出ていないのに気が早い”“2階にいれば安全”と相手にされませんでした。結局、そのお宅は避難が間に合わず、ご主人は流されてきた看板に当たり、肩の骨を折る大けがをしました。奥さんと子供たちは必死に立木につかまり、命からがら救助されたそうです」

 行政から避難勧告が出ても、逃げ遅れる人は多い。2018年7月、「平成最悪の水害」といわれた西日本豪雨の際、行政は避難を呼びかけたが、行動しない、できない人が多数いた。甚大な被害が出た岡山県倉敷市真備町では、亡くなった人のうち約8割が屋内で発見されており、逃げ遅れて溺死した人が多かったとみられている。

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