危機を前に撮影している場合じゃない

危機を前に撮影している場合じゃない

「遊園地でジェットコースターが好きな人とそうでない人がいるように、リスクを取ることを好む人が一定数いる。ただし、“ジェットコースター好きだから逃げ遅れやすい”とはなりません。ただ、自分に及ぶ危険を、ある意味で“許容範囲”と捉える人がいる。高難度の山に挑戦する登山家などもそれにあたる」

 また、報道などで「台風のとき、田んぼの様子を見に行って川に流された」などというニュースをよく耳にするが、これはどういう心理なのか。

「もちろん、生活の糧である農家の田んぼや漁師の船などを確認したいという気持ちの人が多いと思うのですが、それとは別に、災害を見に行くのを内心、好む人もいる。怖いもの見たさ、というもので、わざわざ自然災害が多発する地域に住みたがる人もいます」

 さらに加齢の影響も。

「高齢者や、認知の機能に問題が出てくると、危険を感じないだけでなく“感じたくない”と無意識下で判断し、安全であると思い込もうとする働きをしてしまうこともあります」

 なんとも不思議な働きだが、正常性バイアスも同調性バイアスも、社会生活を平穏に過ごすために必要なもの。私たちの社会が平和であることの裏返しでもある。ちなみに、危険な災害から生き抜くための能力には男女差がある。

「男性の方が正常性、同調性どちらのバイアスにも陥りやすい。女性の方がより敏感に危険を察知します。夫婦でいたら、まず奥さんの方が“何かおかしい”“逃げましょう”となることが多い」

 火事や洪水などの天災から逃げ遅れないためには、どうすればいいのか。

「みんなと同じことをしていれば安全、と考えるのはやめましょう。人と違うことをするのは恥ずかしいと考えていると、助かるものも助からなくなる。また『正常性バイアス』というものが存在し、迫りくる危険が見えなくなっているだけかもしれない、と常に胸に留めておくことも重要です」

 誰しもが陥りがちな「リスクの過小評価」というわながある。それを知っておくだけで結果は違ってくるのだ。

※女性セブン2022年11月3日号

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