その違いを双方に説明して理解してもらわないと、文化の橋渡しはうまくできません。どちらかが我を張ったりとかではなく、それを飲みこんでもらうように持っていくのも、大事な仕事なんです。
ですから、私はアメリカの方に「ちょっと待ってください」と言わないといけないこともあります。
文化の違い、システムの違い、それらを乗り越えて成立させるためには、ちゃんと話し合って、双方に理解してもらう努力が必要なんです。
【プロフィール】
奈良橋陽子(ならはし・ようこ)/ニューヨークのネイバーフッド・プレイハウスで学ぶ。演出した舞台・映画『THE WINDS OF GOD』(1995)は「国連芸術賞」「日本映画批評家大賞」受賞。現在はキャスティング・ディレクターとしても活躍しており、映画『ラスト サムライ』『SAYURI』『バベル』『終戦のエンペラー』など話題作を次々と手がけている。
【聞き手・文】
春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。
※週刊ポスト2022年11月11日号