芸能

『ラスト サムライ』キャスティング・ディレクター ルールや常識が異なる日米の文化の橋渡しをする

オーディションはシンプルな部屋で行われる

オーディションはシンプルな部屋で行われる

 奈良橋陽子氏はキャスティング・ディレクターとして、『ラスト サムライ』をはじめ『SAYURI』『バベル』など、多くのハリウッド映画で日本人俳優の配役を担ってきた。日本の芸能界とアメリカの映画会社。ルールや常識が様々に異なる双方の橋渡しをどのようにしてきたのか、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が、キャスティング・ディレクターの奈良橋陽子氏に聞いた。

 * * *
――アメリカ映画では、トップクラスのスターを除くと、名前のある俳優でもオーディションで決まっていきます。日本の俳優はそれをどう受け止めているのでしょう。

奈良橋:『ラスト サムライ』の頃は抵抗を感じる方もいたかもしれませんが、今は皆さん慣れてきましたね。やっぱり実績のある方はオーディションって嫌だと思うんです。特に落ちた場合。

 でも「落ちた」って思うより「素晴らしいオーディションに参加した」と思うことが大事です。それが次に繋がる場合が絶対にありますから。だから「落ちても全然へっちゃら」と思って受けていただいたほうがいいですね。アメリカの俳優はみんなそうですよ。みんなパッパ、パッパとやって、全然平気。

――日本のドラマや映画では俳優が掛け持ちをすることが多く、スケジュールを押さえるのが大変だと聞きます。

奈良橋:これが一番の葛藤です。だけど、逆にアメリカ側にも日米ではシステムが違うことを知ってほしい。

 アメリカの場合は、映画に出演する場合はスケジュールの優先権があるわけですが、それはその期間は映画にだけ出ていれば十分なお金がもらえるからなんです。ですから、売れている方は、もうスケジュールがないんです。

 でも、日本はそうではありません。CM出演とか他の仕事をして、マネジメントしてもらいながら俳優は生活しています。アメリカ並みにひとつの大きい仕事で多額のお金をもらえたらそういうことはないと思いますが、日本は市場も小さいですし、いろいろな仕事をやらないと生活できないことがほとんどです。

 日本の場合は、売れている方を使う場合はお互い譲り合って仲良くやってスケジュールを調整していくわけですよ。でも、アメリカの場合は「これだけ予定を空けておかないと駄目だよ」というシステムです。

関連記事

トピックス

お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」とは
《「ととのった〜!」誕生秘話》『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
連敗中でも大谷翔平は4試合連続本塁打を放つなど打撃好調だが…(時事通信フォト)
大谷翔平が4試合連続HRもロバーツ監督が辛辣コメントの理由 ドジャース「地区2位転落」で補強敢行のパドレスと厳しい争いのなか「ここで手綱を締めたい狙い」との指摘
NEWSポストセブン
伊豆急下田駅に到着された両陛下と愛子さま(時事通信フォト)
《しゃがめってマジで!》“撮り鉄”たちが天皇皇后両陛下のお召し列車に殺到…駅構内は厳戒態勢に JR東日本「トラブルや混乱が発生したとの情報はありません」
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン