対局相手だった永瀬拓矢王座(時事通信フォト)
棋士は一尺二寸(約36.4cm)の将棋盤を挟んで向き合うが、対局中の会話はほぼゼロだ。
「とはいえ、コロナに敏感でノーマスクを気にする棋士は意外と多い。ただし長時間の着用は苦しいし、思考力の低下につながる。そうしたなかで、ルールで〈一時的な場合を除き〉とある点を巡り、不着用の合計時間や注意する回数、タイミングなどを定める細則がなかったこともあって騒動が大きくなっている」(同前)
対局4日後の11月1日、佐藤九段は将棋連盟に不服申立書を提出。〈着用を促されることもなく、直ちに反則負けとした本件判定は、失うものの大きさと違反行為の内容との間のバランスを著しく欠く〉として〈反則負け判定の取り消し〉〈対局のやり直し〉などを求める事態となったのだ。
「天彦九段の指摘内容を支持する棋士も多いとみられており、事態が紛糾していくことが懸念されています」(同前)
■2022年11月8日追記/記事掲出後、将棋・チェスフロンティアのイベント主催者よりご指摘があり、誤りがあった記載について訂正・削除いたしました。
(後編につづく)
※週刊ポスト2022年11月18・25日号