「旧統一教会除染内閣」の顔ぶれ
強力な教団追及
そうはいっても、自民党では多くの議員が旧統一教会との関係を持つ。同教団と接点のない議員だけで組閣ができるのか。鈴木氏はこう見る。
「数は少ないが、自民党にも以前から教団の活動を問題視していた議員はいます。それに、たとえ過去に関係があったとしても、反省し、現在は教団に厳しい姿勢を取っている議員であれば期待できます。選挙で教団に依存していないことを前提に、それらの基準で大臣を選べば教団の問題に公平に当たることができる内閣をつくれるはずです」
そこで本誌は鈴木氏が長年の取材で得た政治家と旧統一教会との関係性や距離感をもとに、「この布陣であれば強力な教団追及を期待できる」(鈴木氏)と考える“岸田第2次改造内閣”の閣僚名簿を作成した。組閣の骨格を見ていこう。
■文部科学大臣・河野太郎
最大のポイントは、宗教法人法を所管する文部科学大臣の人選だ。教団への調査を指揮し、裁判所に教団解散命令を申し立てる当事者になる。
このポストには政権内の教団追及の急先鋒、河野太郎・現消費者担当相が最適任だろう。
河野氏は消費者庁の有識者会議で旧統一教会について〈解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要がある〉と盛り込んだ報告書をまとめ、岸田首相に「質問権発動」を促した。
現職の消費者担当相は「被害者対策」にあたる立場だが、教団の調査、解散請求の権限はない。そこで河野氏を文科相にして教団解散手続きの指揮にあたらせる。
■法務大臣・石破茂
次に、教団の解散命令請求訴訟にかかわる法務大臣には石破茂氏を起用。石破氏は教団関連団体・世界日報の元社長から献金を受けたが、問題発覚後はいち早く「教団解散」の議論をすべきと発言し、解散論の先鞭をつけた。
「過去に関係があったとしても、反省し、現在は教団に厳しい姿勢を取っている」という基準に当てはまる。
「石破さんなら安倍派の意向に左右されずに政策判断ができる。また、文科相と並ぶキーマンの法相には大物が必要。河野──石破コンビなら最強でしょう」(鈴木氏)
■官房長官・上川陽子
首相官邸で教団解散手続きに向けた総合調整を担うのが官房長官だ。現在の安倍派の松野博一氏を交代させ、岸田派のベテラン、上川陽子・元法相を据える。
「官房長官が安倍派のままではネックになる。上川氏は法務大臣時代、オウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫ら幹部たちの死刑執行を命じるなどカルトを怖れていない。閣内を教団に対して厳しい方針で一致させる意味でも、岸田派の上川氏なら期待できます」(同前)
河野氏の後任の消費者担当相には、自民党の議員グループで旧統一教会2世のヒアリングを行なうなど教団2世問題に積極的な自見英子氏、ともに同問題に取り組んでいるIT起業家の山田太郎氏をデジタル担当相に抜擢する。
(後編に続く)
※週刊ポスト2022年11月18・25日号