ビジネス

大手レンタル店もCD買い取り終了 「円盤」は思い出だけ残して売れるうちに売るしかない

CD、DVDのレンタルショップ。2008年(イメージ、時事通信フォト)

CD、DVDのレンタルショップ。2008年(イメージ、時事通信フォト)

 レンタルビデオショップ・リユースショップなどを全国に展開するゲオホールディングス傘下のレンタル店「ゲオ」が9月末でCDの買い取り受付を終了した。その少し前にはハードオフの一部店舗でCDの買い取り受付が終了、ツタヤもフランチャイズを中心にレンタル事業の撤退が相次いだ。CD・DVDセルショップもネット通販に押されて久しい。かつてはCDの売上枚数がアーティストやアイドルの人気や成功の証だったが、今ではネットでの再生回数やダウンロード数が指標だ。俳人で著作家の日野百草氏が、その形状から「円盤」と呼ばれることもあるCDやDVD買い取りの現実について聞いた。

 * * *
「いよいよ『円盤』の滅ぶ時が来るのでしょうね。レンタルはもちろん、DVDもCDも、ひと昔前に比べればまったく売れないし、物にもよりますが買い取りも躊躇するレベルです」

 長く複数のリサイクルショップを地場で手掛ける経営者(50代)が語る。『円盤』とはDVD(文中、Blu-ray含む)やCDのような光ディスクのことを指すネットスラングとされる。とくにアニメやアイドルなどのコンテンツに使われる言葉で、例えば売れなかったアニメのDVDに対して「円盤500枚爆死」(そのアニメのDVDが500枚しか売れなくて失敗、ということ)などと使われる。もちろん出荷枚数はそれより多く、調査対象に入っていない販売店もあるため厳密な数ではないが、500枚ではまさしく「爆死」である。しかしいまやその「爆死」、コンテンツの出来不出来に関わらず珍しくなくなって久しい。CDはともかく、DVDは本当に酷い。

「100枚くらいしか売れないアニメとかありますからね。コロナ前は声優のイベントチケットとかつけて何とかなってましたけど、それもコロナで休止、やっと最近イベントそのものは復活してきましたけど、それで円盤の売り上げが復活したかというとそうでもないでしょう。むしろ終わりに近づいているのでは。アニメがどうこうというより、もう円盤が時代じゃないのでしょうね」

 円盤を売るためにイベント応募券、ライブ応募券や握手券をつけることは当たり前になっていた。しかしコロナ禍にそういったイベントは軒並み自粛、インターネット全盛のいま円盤単体で勝負できるはずもなく、絶望的な売り上げ、まさしく「爆死」ばかりとなった。現在でもそれなりに売れる円盤はあるが、それらの多くはイベントやライブなどの特典目当てや熱狂的な固定ファンによる推し活的な複数枚買いの買い支えが実情で、市場全体で円盤の売り上げが戻ってきたとは言い難い。DVDにしろCDにしろ、役目を終えつつあるということか。

「以前からうちの買い取りも、物によっては限りなく『0円』ですよ。人気のある無しは必ずしも関係なくて、応募券欲しさに同じ円盤を大量に買う人が、いらない円盤を持ち込んでくる、そういうアイドルとかアニメ声優のファンの円盤はいらないですね。在庫のダブつきが半端ないんで。握手券で有名なアイドルなんかずっとそれです。声優系のガールズバンドとかはまだ値段がつくかな、それでも数百円ですね」

 おっしゃる通り、物にもよるのだろうが、大量に持ち込まれる円盤ゆえに値段は暴落する。イベント応募のシリアルナンバーや握手券、特典さえ手に入ればあとはどうでもいい、とまで言わないまでも「視聴用」「保存用」など数枚あれば済む話で、あとは即売却となる。当然、中古ショップやリサイクルショップとしては買い取り額を下げるしかない。

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン