国際情報

韓国籍を取得した北朝鮮脱北者 カナダに亡命申請するも大半が強制送還へ

脱北できても苦労は絶えないという

脱北できても苦労は絶えないという

 韓国に亡命した北朝鮮脱北者700人以上が韓国の生活になじめず、カナダに難民申請しているものの、大半が難民認定から除外され、韓国に強制送還される状況であることが明らかになった。その多くは韓国で貧困生活を送っているという。これらの脱北者のほとんどは、カナダに難民申請する前に韓国籍を取得、カナダ政府は韓国籍の人々を難民保護の対象外にしているため、強制送還されてしまった。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 カナダの難民申請を受け付ける政府機関「カナダ国境サービス庁」によると、カナダ政府は2018年以来、242人の北朝鮮脱出者を強制送還しており、さらに512人に対して強制送還の手続きを進めている。これらの脱北者は韓国籍をとらずに、直接、カナダで難民申請すれば、カナダの居住権を与えられる可能性が高かったという。

 脱北者にとっては、同じ言語を使い、同じ民族が住む韓国が最も生活しやすい国であると誰もが思うだろう。しかし、韓国での生活は北朝鮮に比べて、あまりに慌ただしく、人々の話す韓国語には聞き慣れない英語の借用語も多々あり、脱北者にとって理解が難しい場合もある。また、北朝鮮で身につけた仕事の能力は、韓国では通用しないことも多い。

 さらに、韓国では北朝鮮出身者ということで差別を受けたりすることも少なくない。韓国政府が支援する韓国国家人権委員会が2017年に行った世論調査では、韓国に定住する脱北者のほぼ半数が差別を経験したと回答している。

 その場合、相談する相手も少なく、社会から孤立し、仕事もなく、貧困生活に陥ることも少なくなく、立ち直る機会も多くないのが現状だ。

 そういった背景から、数百人の脱北者が韓国からカナダに移住することを決断したという。カナダでは、再定住支援プログラムにより、家事着手金や月収支援などの給付を受けることができる。

 しかし、「大韓民国」のパスポートを持っていると亡命申請が即座に却下されるため、カナダにいる北朝鮮からの亡命者の多くは、韓国に帰化したという証拠を隠そうとし、それが発覚して、強制送還手続きがとられるケースが多い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン