ライフ

冬場に注意すべき風呂場やトイレでの「ヒートショック」 防ぐための9か条

(写真/GettyImages)

11月から3月はヒートショック頻発期間(写真/GettyImages)

 急激な温度の変化で生じる血圧の変動で、心臓に負担がかかって起こる「ヒートショック」。とりわけ冬はその数が激増。室内でも起こりうるという。ヒートショックを防ぐために、やっておきたいこととは──。

 自宅の最大の“危険地帯”は浴室だ。入浴中の急死者は年間1万9000人と推計され、交通事故死の約4倍にものぼる。東京都市大学人間科学部教授で医師の早坂信哉さんが指摘する。

「高齢者2000人以上を対象にした訪問入浴介護に関する調査を行ったところ、入浴中に容体が急変し、呼吸困難に陥ったり意識を失ったりする人は一定数いました。介護者がいるので溺れることはありませんでしたが、意識が戻らずにそのまま亡くなる事例も見られました」

 著名人でも風呂場で命を落とす人は少なくなく、晩年まで元気な姿を見せていた俳優の平幹二朗さん(享年82)や元野球監督の野村克也さん(享年84)らも、寒い日の入浴中に亡くなっている。高齢者の健康と生活環境について長年研究を重ねてきた大阪大学人間科学研究科特任研究員の小川まどかさんが言う。

「脱衣所でのヒートショックにも注意してほしい。暖かいリビングから寒い脱衣所に移動して、そこからさらに服を脱いで冷気に肌をさらすと、血圧が急上昇します。

 お風呂から出てきた後も要注意。日本は高温浴・全身浴で長風呂をする人が多く、のぼせ上がって体感温度が上がった状態で冷えた脱衣所に戻ると、ふたたび血圧は急上昇します。脱衣所や浴室はあらかじめ暖め、入浴時の温度差を少なくしておくこと。入浴は早めの時間にすることも望ましいです」

 過去の事例や研究によれば、入浴前の脱衣時に脳出血、湯船の中に入っているときに脳梗塞や心筋梗塞、ふたたび脱衣所に戻ったときに起立性低血圧が起こりやすいことが明らかになっている。

 トイレにもリスクがある。東邦大学名誉教授で医師の東丸貴信さんが指摘する。

「冬場のトイレは肌を冷気にさらすという点で脱衣所と同様にヒートショックのリスクが高い。そうした環境に加え、排便時にいきむことで血圧は40mmHgほど上がります。つまり、もともと高血圧気味で160mmHgの人ならば200mmHgまで上昇することになり、脳出血が起きてもおかしくない状況です。

 特に冬は寒さで腸の活動が停滞して便秘になりやすいうえ、コロナ禍の運動不足で慢性的な便秘を抱える人も多い。トイレの危険度は確実に増しています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト