前田晃伸・NHK会長(写真/共同通信社)
元NHK職員で阪南大学教授(放送文化論)の大野茂氏もNHKが生き残るには、「受信料をもっと下げるべき」という。
「NHKはテレビの視聴者からは受信料、ネット配信からも料金を取り、過去のコンテンツの視聴も別料金にしようとしている。これでは視聴者は納得しない。これからはテレビを見ない世代がドンドン増えていく。それなら、地上波とBS放送、さらにネットとアーカイブスも見られて月1000円程度で見放題という仕組みにすれば、テレビを持たない若い世代でも、料金を払っていいと考える人が増えるのではないか。シニア世代にばかり負担を押し付ける現在の受信料の仕組みはいずれ限界を迎えるはずです」
ネット配信で得た売り上げと子会社の剰余金について、NHKに見解を求めた。
「ネットフリックスへの番組提供については、『NHKインターネット活用業務実施基準』に則り、受信料制度を毀損しない範囲で対価を得ています。また、子会社の剰余金は2021年度で958億円になりますが、業務運営のために必要不可欠であり、単純に減らせるものではありません。ただし、今後さらに積極的に還元を行なうよう指導していきます」(NHK広報局)
このままでは、いずれシニア世代からもNHK離れが起きる。
※週刊ポスト2022年12月9日号