こどもの国線では2020年からラッピング電車を運行。写真の車両は、東急電鉄・こどもの国協会・雪印こどもの国牧場の三者による共同企画による「ひつじでんしゃ」(撮影:小川裕夫)
今回、筆者は特別にcuraraを装着して駅構内を歩かせてもらった。筆者は歩行に問題を抱えているわけではないので、curaraによる補助は階段を登る時に少し感じたぐらいだが、ほかの体験者からは「階段を降りる時に、身体的な負担が軽い」という声が聞かれた。
使用前に専用のスマホアプリで身長を入力するので、AIが個々の体格に合わせた動作のアシストをしてくれる。同種の機器よりも、格段に使い勝手は向上している。こうした機器の活用により、鉄道空間がバリアフリー化していくことは間違いない。
「現在は、実証実験を繰り返してデータを蓄積する段階です。まだデータの蓄積は少ないので、今後どのようにcuraraを導入し、どんな形で駅業務・サービスに活かしていくのかは決まっていません。いずれにしても、誰もが使いやすい鉄道になるような取り組みを続けなければならないと考えています」(同)
機械化が万事を解決するわけではない。だからと言って、何もしなければバリアフリーは進まない。
国土交通省は、歩行困難とされる高齢者が約400万人いると推計している。日本全体が高齢化社会へ向かっていることを踏まえれば、今後はこの数字が増えていく。手をこまねいている余裕はない。
それだけに、鉄道事業者が人的なバリアフリーから機器や最新技術を用いてバリアフリー化を進めるのは時代の流れなのかもしれない。
東急電鉄の長津田駅は、東急の田園都市線とこどもの国線のほか、JR横浜線も乗り入れている(撮影:小川裕夫)