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服用する薬の種類が多いほど跳ね上がる「副作用のリスク」 減薬で症状改善することも

(写真/GettyImages)

減薬で症状改善も(写真/GettyImages)

 どんな薬にも何らかの副作用があることは万人の共通認識だ。しかし実際に体調が悪くなったときに、それが病気の症状なのか、それとも副作用なのかを判断するためには知識が必要だ。

 1剤だけであれば副作用が出にくい安全な薬だったとしても、複数の薬を同時に服用することで重篤な状態に陥るケースもある。主婦のYさん(56才、女性)は、コロナ禍で2年ぶりに再会した父の変わり果てた姿に衝撃を受けた。

「新型コロナが落ち着いたからやっと会える、と家族で実家に帰省したのに、父はずっとぼんやりしていて会話もかみ合わない。2年ぶりに顔を見た孫が話しかけても上の空で……。これは絶対に認知症だと思ってすぐに病院に連れていったら、睡眠薬や高血圧の薬などで8種類の薬が出ていたことがわかって、減らすことになりました。

 減薬してしばらくしたら症状が治まって、以前のような快活な父に戻りましたが、あのまま放置していたらと思うととても恐ろしいです」

 年を重ねるごとに服用する薬の数が増えるのは全国的な傾向であり、現在70才以上の高齢者は平均して6種類以上の薬を服用しているといわれる。ブレインケアクリニック名誉院長で認知症に詳しい今野裕之さんは、一見すると認知症でも、薬の副作用で頭がぼんやりしているだけだったという事例は多いと話す。

「『おばあちゃんが認知症になってしまった』と言って病院に駆け込んで来る患者とその家族は少なくありませんが、薬の副作用でぼんやりしているだけということは少なくない。薬の種類は多いほど副作用は出やすくなり、6剤以上になるとそのリスクは跳ね上がります。減薬するだけで改善する例は珍しくありませんので、なんとなくのんでいる薬をまず確認し、整理することが大事です」(今野さん)

 のみ合わせによっては、認知機能の低下以外にも強い副作用が出ることもある。会社員のKさん(42才、女性)が言う。

「先日、義理の母が自宅前で軽く転倒しました。大きく転んだわけではないのですが、傷口から大量の血が出て救急車で運ばれることになった。後からわかったことですが、偏頭痛もちで解熱鎮痛剤を常用していたことと、高血圧の薬をのんでいたことが理由だったそうです」

 ナビタスクリニック川崎の内科医、谷本哲也さんが解説する。

「ロキソプロフェンに代表される『NSAIDs』系の解熱鎮痛剤には、消化管から出血しやすくなる副作用があり、そこに追加で血を固まりにくくする抗凝固薬や抗血小板薬をのめば、相乗効果で出血リスクが増します。胃潰瘍から出血を起こして血を吐いたり、腸から出血して貧血が起きたりするケースも報告されています」

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