落語家の山田隆夫(時事通信フォト)

落語家の山田隆夫(時事通信フォト)

「山田は並だよ」

 そればかりか、こんな偶然もありましたね。

 僕の長男が生まれた時、自分の父と祖父の名前を一字ずつもらって「太一」と名付けたら、後から楽太郎師匠は「それ、俺が子供に付けたい名前なんだよ」って言い出した。僕に「ほかの名前にしろよ」って随分文句を言いましたが、結局、師匠は自分のお子さんに「一太郎」と名付けました。

 そう思うと、僕は師匠とのプライベートの思い出が強すぎるくらい、濃密なお付き合いでした。それを思い出すだけで涙が出てきます。

 最後に会ったのは、今年8月、『笑点』の収録に楽太郎師匠が遊びにきた時でした。師匠はみんなに特上のうなぎ弁当を差し入れしてくれましたが、「山田は並だよ」って僕にだけ並を渡してきた。それが一番笑いが取れるって知っているから、師匠は病気でつらい時でも周りを笑わせようとしてくれたんですよね。

「皆さんご迷惑かけてすみません」って泣きながら言う一方で、「みんなに会いたかったよ。こんな山田でも会いたかったよ」って。それでみんなでうなぎを食べて、笑いながら帰って行った。その背中が、この目で見る師匠の最後の姿になりました。

 思い返せば、晩年は病魔と闘い続けた年月でした。手術で開けられた8か所の傷口を一度見せてきて、「手術後は本当に痛くて痛くて、普段はどんなことでも泣かない俺が、これだけは泣いた」と言うあなたに、僕は「大変でしたね」と声をかけるのが精一杯でした。治療とリハビリだらけの3年間は、本当におつらかったと思います。

 これからはゆっくり、五代目圓楽師匠、歌丸師匠とみんなで楽しく、天国から見守ってください。『笑点』は今までどおり団結して、もっと面白くしていきますから。

※週刊ポスト2022年12月23日号

関連記事

トピックス

NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
米国の大手法律事務所に勤務する小室圭氏
【突然の変節】小室圭さん、これまで拒んでいた記念撮影を「OKだよ」 日本人コミュニティーと距離を縮め始めた理由
女性セブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
現役を引退した宇野昌磨、今年1月に現役引退した本田真凜(時事通信フォト)
《電撃引退のフィギュア宇野昌磨》本田真凜との結婚より優先した「2年後の人生設計」設立した個人事務所が定めた意外な方針
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
中森明菜復活までの軌跡を辿る
【復活までの2392日】中森明菜の初代音楽ディレクターが語る『少女A』誕生秘話「彼女の歌で背筋に電流が走るのを感じた」
週刊ポスト
世紀の婚約発表会見は東京プリンスホテルで行われた
山口百恵さんが結婚時に意見を求めた“思い出の神社”が売りに出されていた、コロナ禍で参拝客激減 アン・ルイスの紹介でキャンディーズも解散前に相談
女性セブン
真美子夫人は「エリー・タハリ」のスーツを着用
大谷翔平、チャリティーイベントでのファッションが物議 オーバーサイズのスーツ着用で評価は散々、“ダサい”イメージ定着の危機
女性セブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン