火の手は一気に広がっている。
「高市氏は今がチャンスと見て勝負に出た」
そう語るのは政治評論家の有馬晴海氏だ。
「岸田首相は完全に読み違えた。防衛費増額はもともと故・安倍(晋三)元首相が提唱したものだから、首相はそれを掲げれば安倍派の支持を取り付けられるし、ウクライナ戦争で危機感を強めている国民もついてくるだろうと甘く考えていた。政治オンチなわけです。
高市氏は後ろ盾だった安倍氏の急逝で勢いを失っていたが、それを挽回の好機と見た。“防衛費増額は必要だが、増税には反対だ”という対立軸を掲げることで党内の倒閣運動に点火した」
防衛費増額を前提とすること自体、国民感情無視もはなはだしいが、高市氏にすれば、岸田首相から罷免されたらかえって好都合だろう。そうなれば“倒閣運動のジャンヌ・ダルク”のポジションにつくことができるからだ。
しかし、岸田首相は閣僚不祥事で大臣辞任が相次いだことから、ドミノ辞任を防ぐには高市氏を罷免したくてもいま切るわけにはいかない。かといって黙っていれば倒閣の火は燃えさかるばかりだ。
※週刊ポスト2023年1月1・6日号