芸能

『鎌倉殿の13人』、時代劇研究家が「こうくるか」と驚いた最終回シーンとその後の物語

主人公・北条義時を演じる小栗旬(時事通信フォト)

最終回を迎えた『鎌倉殿の13人』(時事通信フォト)

 1年を通して注目を集め続け、盛り上がりのまま最終回を迎えたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんは最終回シーンのどこに注目したのか。そして登場人物たちの“その後の物語”についても考察する。

 * * *
『鎌倉殿の13人』完結。まさか、こうくるかーとさまざまな場面で驚きの最終回であった。りくやトウの後日談のような場面もあって興味深かったが、さらに「あの人たちはその後、どうなったのか」と気になることも多い。

 その筆頭に挙げたいのは、自ら「尼将軍にのぼりつめた稀代の悪女」と語られるだろうと言っていた政子(小池栄子)。死の間際の義時に告げた「わたくしもそう遠くないうちにそちらへ行きます」の言葉の通り、政子は、義時死去の翌年死去。悪女の評価はいつから言われ出したかは定かではないが、日野富子(大河ドラマ『花の乱』の主人公。応仁の乱の原因となったともいわれる室町幕府八代将軍・足利義政の妻)と淀殿(豊臣秀吉の妻で秀頼の母)とともに「三大悪女」と言われるところをみると、年代的に見ても日本史上悪女の元祖的存在になったということだ。

 一方、最終回で毒でもない酒を飲んで舌がしびれたりしびれなかったり、一人芝居で見せてくれた三浦義村(山本耕史)は、北条泰時を助け、義時の死後、約15年後に亡くなる。ところが仁治三年(1242)に泰時が亡くなり、その五年後の宝治元年(1247)に五代目執権北条時頼と安達氏によって、三浦氏は滅ぼされる。義村の後を継いだ泰村は、義村ほど世渡り上手(というか常に勝馬に乗る男)じゃなかったということか…。

 そして、気になる尾上松也が演じた後鳥羽上皇のその後。似せ絵や刀剣磨き、蹴鞠など、出てくるたびに「特技」を披露し、「次には何を見せてくれるのか」と楽しみな存在だったが、最終回では劣勢を挽回するために戦場への出陣を懇願されて、「私は武芸にも通じておるわ!」と御簾を弾き破る勢いで一歩前に出る。しかし、乳母の兼子(シルビァ・グラブ)に後白河院(西田敏行)の名を出され、思いとどまる。結果的には官軍は敗北。自身は罪人が運ばれる逆輿(さかごし)に乗せられ、隠岐へと流される。

この場面で、まさか文覚(市川猿之助)が姿を現し、「隠岐はいいところだあ。いっしょに暮らそう」と言いながら剃髪した後鳥羽上皇の頭をかじるとは。もうやりたい放題じゃんと笑ってしまったが、ここで大事なのは、文覚が言うように「隠岐は何もない」島じゃなかったことだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

亡くなる前日、救急車がマンションに……
《遺骨やお墓の場所もわからない…》萩原健一さん七回忌に実兄は「写真に手をあわせるだけです」明かした“弟との最期の会話”
NEWSポストセブン
3月24日午後4時半すぎに事件は起きた
《高齢ドライバー事故》あんたが轢いたのは人間やで!」直後に一喝された古橋昭彦容疑者(78)は呆然とうなだれた…過去にも「気づいたら事故」と供述【浜松・小学生姉妹死傷】
NEWSポストセブン
試合後はチームメートの元を離れ、別行動をとっていた大谷翔平(写真/アフロ)
【大谷翔平、凱旋帰国の一部始終】チーム拠点の高級ホテルではなく“東京の隠れ家”タワマンに滞在 両親との水入らずの時間を過ごしたか 
女性セブン
「MEDIA IS NOT GOOD」とは、“パンクの女王”と呼ばれたアメリカの詩人でミュージシャンのパティ・スミスが発信したメッセージ
《KAT-TUN解散》亀梨和也の「4万円メッセージ入り白Yシャツ」に込められた“不退転の覚悟”
NEWSポストセブン
いよいよ開幕迫るプロ野球。3年連続最下位の中日ドラゴンズは汚名挽回なるか(*credit)
【日中問題の専門家が語る“中日愛”】名手でもファン投票でオールスター落選…ドラファンならとっくに知っている「民主主義の残酷さ」
NEWSポストセブン
サトウ食品はパックご飯の一部商品の生産休止と終了を発表した(公式サイトより)
「コメが足りないわけではないんです」…『サトウのごはん』一部商品の販売終了…担当者が明かした休売・終売の目的
NEWSポストセブン
すき家の対応の「マズさ」とは(時事通信フォト、写真は東京都港区の店舗)
「ネズミと虫とはワケが違う」「なぜ公表が2か月後だったのか」すき家で“味噌汁にネズミ混入”、専門家が指摘する「過去の前例」と「対応のマズさ」
NEWSポストセブン
Number_iのメンバーとの“絆”を感じさせた永瀬廉
キンプリ永瀬廉、ライブで登場した“シマエナガ”グッズに込められたNumber_iとの絆 別のグループで活動していても、ともに変わらない「世界へ」という思い 
女性セブン
破局していたことがわかった広瀬(時事通信フォト)
《女優・広瀬すずと交際相手が破局》金色ペアリング熱愛報道も…昨年末に「薬指のリング」は“もうつけない”の異変
NEWSポストセブン
“スーパーサラリーマン清水”と“牛飼”の関係とは──。
成金トクリュウ“牛飼” 斎藤大器容疑者(33)と“スーパーサラリーマン清水” 清水謙行容疑者(49)の“意外な繋がり”「牛飼に近い人物が関西に“点検商法”を持ち込んだ」
NEWSポストセブン
春の園遊会では別の道を歩かれる雅子さまと紀子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA) 
春の園遊会が60年ぶりの大改革 両陛下、秋篠宮ご夫妻、愛子さま、佳子さまが3組に分かれ“皇族方の渋滞”を解消、“じっくりご歓談”“待ち時間短縮”の一石二鳥 
女性セブン
プロデューサーとして本作のスタッフィングなどに尽力したシンエイ動画の佐藤大真さん
『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』プロデューサーが明かす「王道」を意識した「敵キャラ」の魅力
NEWSポストセブン