上皇は、都に文も送り、島に刀匠を招いたこともあったという。島で和歌を詠み、「遠島百首」「隠岐本新古今集」などを成立させた。島の人から「ごとばさん」と慕われ、上皇を喜ばせるために牛を戦わせて見せたことが、今も島に伝わる伝統行事「牛突き」の始まりになったとも。なんでもできちゃう後鳥羽上皇は、島でもしっかり文化を遺し、60歳の生涯を終えた。島人は祠をつくり、上皇を祀っている。
なお、尾上松也は、今回で五度目の大河ドラマ出演となるが、その一回目は小学生時代の1995年『八代将軍吉宗』だった。その時演じたのは、吉宗(西田敏行)の少年期。今回はその西田後白河法皇の孫の役。最終話で後白河法皇の顔を思い浮かべるシーンは、感慨深かったに違いない。
ドラマの中で後白河院は生霊になっていたが、通説では後鳥羽上皇は、北条や三浦を恨み、怨霊になったとも言われている。「ごとばさん」と慕われた人柄を考えると、それはないような気もするが、後日談がドラマになっても面白いかもしれない。もちろん、文覚もからめて。