牛乳の栄養価は高いものの…(イメージ)

牛乳は日本人の体質には合わないという(イメージ)

日本人は骨粗しょう症になりにくい

 このように日本人の体は欧米人とは違うため、欧米生まれの健康法が日本人にも効果があるとは限りません。その例が、「骨を強くするために牛乳を飲む」です。

 カルシウムが不足すると骨がもろくなって折れやすくなり、寝たきりを招くことはよく知られています。けれども、日本人は、ほとんどの人が牛乳を充分に分解できません。赤ちゃんの頃は母乳を消化できるのですが、成長するにつれて、乳に含まれる乳糖という物質を分解する力が低下します。牛乳を飲んでお腹がゴロゴロすることがあるのは、そのせいです。

 乳糖を分解する力があるかどうかは遺伝子で決まっていて、北欧とイギリスに代表される地域の人は乳糖を簡単に分解できるのに対し、日本を含む大部分のアジア、アフリカなどは分解力の低い人が70〜90%を占めています。

 また、牛乳には乳脂肪が多く、後で説明する内臓脂肪がつきやすいという注意点もあります。

 でも心配いりません。骨粗しょう症の発症は遺伝の影響が大きく、日本人を含むアジア人は欧米人とくらべて骨が強いことがわかっています。たとえばアメリカの白人はカルシウムを日本人より2倍多く摂取していますが、彼らの方がアジア人とくらべて骨粗しょう症に2倍なりやすいというデータがあります。

 また、食生活の違いも関係しています。欧米人がカルシウムを乳製品から摂取するのに対し、日本人は海藻や緑黄色野菜、大豆や小魚などから摂ってきました。食品100gに含まれるカルシウムの量は、小魚はもちろん、大豆や大豆製品、小松菜や春菊の方が牛乳より多いうえに、同じカルシウムでも吸収しやすさが違う可能性があります。

 さらに、骨の強さはカルシウムの摂取量だけで決まるわけではありません。特に大豆と大豆製品に含まれるイソフラボンという成分は、骨からのカルシウムの流出を抑えます。骨を強くしたいなら、牛乳を飲んで安心するのではなく、多様な食品からカルシウムを広く摂取することが大切です。

 魚には動脈硬化を予防する効果もあります。日本が世界有数の長寿国になった背景に、日本人が動脈硬化になりにくいことがあります。実際に、日本は動脈硬化を原因とする心筋梗塞が世界でもっとも少ない国のひとつです。ここにも遺伝子が関係しています。

 食生活で重要なのが魚です。魚には、おなじみのEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く、どちらも中性脂肪を減らし、動脈硬化になりにくくしてくれます。

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