日本人と欧米人は胃の形が違う
EPAとDHAをどのくらい含んでいるかは魚の種類によって大きく違い、たとえばまぐろの赤身は少ないのに対して、さば、さわら、いわし、さんまなど背中の青い魚、ぶり、鰻などにはまぐろの10倍以上含まれています。冬の味覚「ぶり大根」を一皿食べれば、1日に必要なEPAとDHAを2日分摂取できます。
最近よく聞く腸活はどうでしょう。ヨーグルトを食べれば善玉菌の力で腸がきれいになるのでしょうか?
実は、日本人の腸はとてもきれいなのです。国際調査によると、たとえばアメリカや中国の人は悪玉菌が非常に多かったのに対し、日本人は調査した12か国の中で善玉菌が最も多く、腸の炎症や、大腸がんが最も発症しにくい腸内環境であることがわかりました。
その理由は、昔から食物繊維をしっかり摂ってきたことにあります。食物繊維は善玉菌の餌になるとともに、悪玉菌が出す悪い物質を体の外に出してくれます。一方、ヨーグルトの善玉菌は体に長くすみ着くことができず、腸内で増える可能性はほとんどありません。牛乳を発酵させたことで、ヨーグルトの乳糖は比較的分解しやすくなってはいますが、乳脂肪を多く含む点は牛乳と同じです。その意味で、ヨーグルトは牛乳と同じく、日本人の体には合っていないといえます。それよりは食物繊維を摂って、日本人の腸にたくさんすんでいる善玉菌を元気にする方が安全で確実です。
野菜やいも、海藻、きのこもよいのですが、玄米は食物繊維が非常に豊富で、白米の7倍多く含まれています。日本人のきれいな腸を守るため、玄米や大麦、雑穀などをつとめて食べましょう。
現代日本人の大敵は「内臓脂肪」
さて、日本人は有利な遺伝子だけではなく、不利な遺伝子も持っています。その代表がお腹の脂肪、正確には内臓脂肪をつきやすくする遺伝子です。内臓脂肪は見栄えが悪いだけでなく、病気のもとになる悪い物質を作ることで、高血圧、糖尿病、脳梗塞などの生活習慣病や、大腸がん、膵臓がん、乳がんなどの発生を促します。困ったことに、日本人を含む東アジア人は、欧米人より内臓脂肪がつきやすいのです。欧米人は体が大きくても、あまり悪さをしない皮下脂肪が中心です。
日本人は昔から内臓脂肪が蓄積しやすい遺伝子を持っていました。それでもかつては、脂質をあまり摂取せず、よく歩いていたので内臓脂肪が少なかったと考えられます。しかし、現代人は肉、揚げ物、牛乳、乳製品などから脂質を大量に摂取し、運動が不足しています。それにより、せっかく恵まれた体質を持つ日本人の体に内臓脂肪がついて、生活習慣病や、がんになる人が増えました。もったいないことですね。
忙しかったり疲れていたりして、体によい料理を作れない日もあるでしょう。そんなときは、簡単に作れて満足できる肉料理や揚げ物に頼りがちですが、それならスーパーでさばの塩焼きや小松菜のお浸しなどの総菜を買ってきましょう。あらかじめ冷凍しておく手もあります。缶詰やレトルトは栄養が少ないため、おすすめできません。