酒に弱い人はマラリアに強かった?
日本人は夏に太りやすく冬にやせやすい
では、日本人が健康になるのに役立つ食べ方はあるのでしょうか。
欧米人と異なる日本人の特徴に、季節によって食欲が変化することがあります。安静にしているときに使う必要最低限のカロリーのことを基礎代謝といいますが、日本人の基礎代謝量は春から夏にかけて下がり、秋から冬に向けて上がります。秋冬に基礎代謝量が上がるのは、エネルギーを大量に燃やして熱に変え、寒い中で体温を保つためです。それにはカロリーをしっかり摂取しなければならないため、「天高く馬肥ゆる秋」のことわざどおり、自然に食欲が高まります。
逆に、夏は暑いのでエネルギーを燃やす必要がありません。そのため基礎代謝量が下がって食欲が低下します。夏になると「夏バテを防ぐために、しっかり栄養を摂りましょう」とよく耳にしますが、必要ないのにカロリーの高いものを食べたら太るだけです。
もう1つ、日本人が気をつけたいのが食べる順番です。食事を開始して血糖値が上がると、膵臓からインスリンというホルモンが出てブドウ糖を体に吸収させます。けれども、日本人は欧米人とくらべて膵臓の力が弱く、インスリンを少しずつしか作れません。そのためブドウ糖が一気に体に入ってくると、血糖値がなかなか下がらず、これを繰り返すうちに膵臓が弱って糖尿病を発症しやすくなります。
たんぱく質や脂質、そして食物繊維は、ブドウ糖の吸収をおだやかにしてくれます。そのため、ご飯よりおかずを先に食べると、血糖値がゆっくり上昇するだけでなく、最も高くなったときの数値が低くなります。血糖値の上昇が遅くなれば、膵臓はインスリンを少しずつ作ればよいので負担が軽くなります。
改まった席では出された順に食べるのがマナーですが、普段の食事では、おかず、ご飯の順で食べると糖尿病予防に役立つわけです。
食事をする時間はどうでしょう。夕食を遅い時間に摂ると太りやすいという話があります。ここには、脂肪細胞が作る物質や、脂肪の合成を促すたんぱく質が関係しているとか、夜は腸が栄養を活発に吸収するから、などの説があります。しかし、実は、夕食の時間が遅いだけで本当に太るかどうかの結論は出ていません。