芸能

映画『おくりびと』の特殊メイク“ダミー人形”の裏側 長毛種の犬の毛は難しい

動物からSFキャラクターまで手がけてきた

動物からSFキャラクターまで手がけてきた

 映画『おくりびと』(滝田洋二郎監督)では、遺体の撮影にダミー人形が使われ、これが実際の俳優と錯覚するほどのリアルさだった。それを創作した特殊メイクの第一人者・江川悦子氏に、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が、どのような毛を使ったのかをうかがった。

 * * *
――実際の人間の毛を使われたのですか?

江川:人毛の場合もあります。ですが、たとえば眉とかですと、動物の毛で、ちょっと毛先が細いものとか。様々な素材を試しながら、どうやったら人間の状態に近くなるかと考えていつも選んでいます。

――そうした毛の素材はあらかじめストックしてあるのですか?

江川:けっこうそろえていまして、人毛、動物の毛、人工毛とあります。特に動物の場合は、ちゃんとリアルな動物の毛を作る会社がアメリカにあって、ゴリラだ、トラだと指定すると、その毛に近いものを作ってくださるんです。そういう会社に頼んで、よく使うものはストックとして持つようにしています。犬とか、頻度が多いんです。ラブラドールだったり様々な犬が映画の中に登場して、終盤で亡くなっていきますよね。『クイール』(2003年)もそうでしたけど。

 長い動物毛って日本では手に入らないんです。仕方なくボア生地といって、生地屋さんにあるフェイク・ファーを流用したこともありました。でもそれだと短くてリアリティが出ないことも。短毛種の犬はそれを使う場合もあります。

 そうやって、作品によって必要な毛は様々なので、普段から持っていたりはするのですが、新たに注文が来て、持っていなかった場合は、それに沿う材料をまず探します。

――注文が来た段階で、「これにはこういう毛が合うな」と発想されるのでしょうか?

江川:そうです。「これは、あれの毛がいいんじゃないか」と、アイデアが出てきますね。過去の引き出しから出す、みたいな感じです。

関連記事

トピックス

(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン