志摩ノ海と逆鉾長女の結婚会見(時事通信フォト)
継承者が固まり、豊ノ島が借り株の「井筒」を返さなくてはならなくなったとする見方だ。ただ、豊ノ島が幕内在位71場所を誇るのに対し、志摩ノ海は同19場所に過ぎない。この初場所で十両以上が30場所目となり、ようやく年寄襲名の条件を満たす程度の実績だ。時津風一門の関係者はこう首を傾げる。
「井筒部屋の再興となると、部屋の新設には高いハードルがあり、『横綱・大関経験者』『三役通算25場所以上』『幕内通算60場所以上』のいずれか。豊ノ島ならできたが、志摩ノ海が条件を満たすのは現実的ではない。そうなると、定年間近の親方がワンポイントで井筒部屋を再興し、志摩ノ海が継承するとか、木瀬部屋を継いで名跡変更するなどして部屋を継ぐ(継承は『幕内通算12場所以上』『十両通算20場所以上』に条件が下がる)やり方くらいしかないのでは」
様々な思惑が交錯するなか、実績が十分で評価も高い豊ノ島が協会を去ることになってしまったことだけはたしかだ。
※週刊ポスト2023年1月27日号