腹踊りも披露
北川が「大きな転機になった」と語るのが、2018年だ。
〈あの年は、すごく忙しかったんです。NHKで『フェイクニュース』という作品を撮ったり、大河ドラマ『西郷どん』に篤姫役で出演したり、映画『スマホを落としただけなのに』を撮ったのも2018年。いろいろな作品が立て込んでいて、考えすぎる暇もなかったんですね。
自分で言うのもなんですが、若いとか可愛いとかきれいとか、そういうことで許されてきた面があったわけです。でも年齢を重ねてくると相応の実力が求められてきます。破れかぶれでもいいから、自分の殻を打ち破ってやらないとだめだなと〉
当時についてウェブメディア『THE PAGE』のインタビューでそう振り返っている。
2018年は町田康原作、宮藤官九郎脚本の異色時代劇映画『パンク侍、斬られて候』で腹踊りを披露して話題を呼ぶなど、新境地を切り開く1年になった。『スマホを落としただけなのに』で共演した高橋メアリージュン(35)が語る。
「私がご一緒するのは明るいシーンが多かったですが、そのたびに『ホッとするわ~』とはにかんでいて、その表情が可愛すぎる(笑)。でも、シリアスな展開になると北川さんの眼光が鋭くなって空気がひりつく。どれだけ役に没入すればあんな演技ができるのかと思うばかりでした」
北川も高橋もモデル出身。そんな高橋だからこそ、北川の凄さが分かると話す。
「雑誌モデルのような2次元の世界では常に美しくてカッコいい『100点』の状態で見られている。しかし、女優として3次元の世界に飛び出すと、誌面上のような完璧な姿でずっといることはできない。減点されやすくなってしまうわけです。そういった部分の葛藤を乗り越えて、女優業に向き合う北川さんの精神力と演技に対する責任感には感服です」
プライベートでは、2016年にタレントのDAIGOと結婚。2020年9月には女児を出産したが、年内に女優業にスピード復帰した。前出の両沢氏はこう期待を寄せる。
「多くの映画やドラマで主役級の役を演じ、いまや堂々とした演技で魅せることができる女優。でも僕からすると、最近の彼女の出演作は大河ドラマとか大作映画とか、作品が立派すぎるんです(笑)。『Dear Friends』みたいなちょっと尖った作品にも出てほしい。ぜひまたご一緒したいですね」
並々ならぬ覚悟と努力の積み重ねで、“綺麗なだけの女優”から逆襲を果たした北川。今後の活躍がますます楽しみだ。
※週刊ポスト2023年2月3日号