さらに越智容疑者は玉手箱について〈朽ちて見える真実の美しさを気づかせてくれた〉などと独特な文章を綴っていく。350文字ほどの文章に込められた真意は越智容疑者にしか分からないだろうが、最後をこう締めている。
〈亀をのろまだと侮ることなく、玉手箱を開いて皺が増えたと嘆くでもない。そんな目を持ちそして、そんな玉手箱のようなテレビを創りたい〉
この自己紹介を見た40代のTBS局員はこう語る。
「当時は就職活動でのテレビ局の人気は凄まじく、倍率は数百倍と言われていました。そんな試験を突破しただけでも越智さんは非凡な才能があったと思います。社内報の新人自己紹介にこういう文章を載せた狙いや文章に込められた真意はわかりませんが、この文章にもその才能が発揮されていたのでしょう」
才能に満ちあふれたエリート局員は、どこで道を誤ったのか。本格的な捜査はこれからだ。
どこか文学性を感じる