留意すべきは、がんをはじめとした大きな病気を治療する際に受ける「代替療法」に伴う弊害だ。
「健康食品や温泉療法、アロマテラピーなどの代替療法を受ける人も少なくありませんが、健康被害・経済被害・機会損失の3つのリスクを伴うものは避けるべきです。
特に健康被害は意外と多く、がん患者を対象とした調査では、医師に黙ってのんでいる健康食品によって、5%の患者に実際に健康被害が起きていることがわかっています。
また、代替療法は健康保険の対象外なので全額自己負担。死ぬまでずっとお金を使い続けることになるので、始める前にかかる費用をよく考えましょう。
加えて何より問題なのは、代替療法のために標準治療を拒否したり治療の開始が遅れたりして、得られたはずの利益を失うことです。標準治療を否定する代替療法にだけは、近づかないでほしい」(大野さん)
つまり、情報を取捨選択して正しい知識をつけることが無駄な治療を断ることにつながるのだ。
「1つの判断基準は、いま自分が受けている治療やのんでいる薬の目的を自分で説明できるかどうか。『よくわからないけれど、医師から言われたからのんでいる』という状況は、情報はもちろん、医師とのコミュニケーションも足りていません」(尾藤さん)
正しい知識と断り方を知って、今年は「主体的な患者」になろう。
※女性セブン2023年2月2日号