国内

連続強盗事件、ルフィが捕まっても止まらない 「襲撃リスト」はどう作られるのか

『ビクタン収容所』にいた4容疑者のうち1人はスマートフォンを6台所持していた

『ビクタン収容所』にいた4容疑者のうち1人はスマートフォンを6台所持していた

「ルフィ」が海を越えてやってくる──これは、人気コミックの主人公の話ではない。日本政府はフィリピン政府に対し、1月30日、日本中を震撼させている連続強盗事件の「指示役」と目される4人の男の強制送還を正式要請。翌31日、フィリピン側は早期の送還の見通しを発表した。

 首都マニラの入管施設に収容されていた渡邉優樹(38才)、今村磨人(38才)、藤田聖也(38才)、小島智信(45才)の4容疑者は、フィリピンを拠点にした70人規模のグループで日本国内に向けて特殊詐欺を働き、2017〜2019年の2年間で約35億円を詐取。警視庁が窃盗容疑などで逮捕状を取っており、フィリピン側に引き渡しの要請を続けていた中で、今回の連続強盗事件が起きていた。

 渡邉容疑者らが収容されていたのはマニラの「ビクタン収容所」。施設には不法滞在などで母国への送還を待つ外国人や、各国で指名手配された逃亡犯が収容されている。

「“地獄の沙汰も金次第”そのもので、職員に賄賂を渡せば、スマートフォンやパソコンのほか酒も容易に手に入り、賭けポーカーなども自由にできる“無法状態”だったようです」(社会部記者)

 渡邉容疑者は、現地警察の間で「ビッグボス」と呼ばれ、今村容疑者らもそれぞれエアコン、洗面台、シャワールーム付きの「VIPルーム」で羽振りのいい生活をしていたという。

「係争中は強制送還できないというフィリピンの法律を逆手に取り、渡邉容疑者の元妻が暴力事件をでっち上げ、自らを訴えさせていた。ほかの容疑者も同様の訴えを起こさせていましたが、両国間の調整がつけば早いうちに強制送還される」(前出・社会部記者)

 一連の事件で注目されているのが、犯行に利用された「資産家リスト」の存在だ。所有する不動産や車、家族構成、納税額や職業に関する情報のほか、現金をどれくらい保有しているのか、どこの銀行を使用しているかなど、個人情報が広範囲に記載されているという。防犯ジャーナリストの梅本正行氏が指摘する。

「今回の犯行に共通するのは、詳細な個人情報をもとにしていること。私たちは大前提として“自分の家の情報は外部に完全に漏れていること”を自覚すべきです。その危機感が、強盗や窃盗犯から身を守る第一歩です」

 世間では「闇の名簿屋」の存在が注目されている。

「不動産や金融資産の投資名目のアンケートで、名前や住所、電話番号、年収や現金資産の有無はもちろん、既婚か独身か、家族構成などがまとめられていきます。あとは、企業が誤って顧客情報を流出させたり、悪徳業者が小遣い稼ぎに売り払うことで、名簿屋の手元に情報が集まっていき、精度が上がっていく」(別の社会部記者)

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン