ライフ

花粉症の薬、安易に服用し続けることのリスク「急に乱暴に」「認知機能低下」の例も

(写真/GettyImages)

花粉症の薬、服用の注意点は(写真/GettyImages)

 1月末に10年に1度の最強寒波が列島を襲った。しかし、すでに「春の使者」に悩まされ始める人が出ている。「花粉」だ。花粉症のピークは例年2〜4月で、2月上旬に九州から飛散が始まるパターンがほとんど。だが、今年は様子が異なる。気象総合サイト「ウェザーニュース」が全国の約7000人を対象にした調査で、今年は1月中旬から花粉症の人の3割以上が「花粉を感じている」と回答したのだ。

 しかも、それは序章に過ぎない。スギ花粉は花粉症の原因の約7割を占め、多くの人を苦しめる元凶といえるが、今シーズン、スギ花粉の飛散量は過去10年で最多になる可能性が高い。

 これは環境省が昨年11〜12月に34都府県で花粉生産能力のある林齢26〜60年のスギ林で雄花の芽を調査した結果で、関東や北陸、近畿、中国地方など多くの地域で過去10年の最大値が観測されている。昨夏は6月のうちから高温が続き、日照時間も長かったことでスギ雄花の量が増えたと考えられている。

 ここ10年間で最大級の花粉量が襲ってくる。そう聞いただけで暗澹たる気持ちになる人は少なくないだろう。止まらない鼻水にくしゃみ、目のかゆみ、鼻づまり。すべてを投げ出したくなるようなつらい日々が、今年もやってくるのだから──。

のみ続けると認知症リスクが上がる

 ひどい症状に見舞われると薬に頼りたくなる気持ちはよくわかるが、安易な服薬は危険だ。そう指摘するのは日本初の「薬やめる科」を開設した松田医院和漢堂院長の松田史彦さんだ。

「花粉症薬は市販薬であっても、長期にわたってのみ続けるのは危険です。目や鼻だけに効くわけではなく、脳をはじめとする全身に薬効が行き渡ってしまうからです」

 この時期、ドラッグストアにはさまざまな花粉症の市販薬が並び、テレビCMもその名を連呼する。のめば苦しみから少しの間、逃れられることもあり手軽に使ってしまいがちだが、その花粉症薬で最悪、死ぬこともあるのだ。花粉症薬の副作用で苦しんだ兵庫県のA子さん(41才)が明かす。

「どちらかというとおっとりした性格なのですが、春になるとやたらとイライラして夫に暴言を吐いてしまっていました。夏になるとパタっと収まり、ものすごい後悔の念に襲われるのが毎年のパターン。ところが、たまたま別の病院で診てもらったときにその話をしたら、花粉症の薬が原因だと言われました。使っていた薬には精神錯乱の副作用があったのです」

 A子さんは花粉症薬を別の薬に替えてもらい、以降はイライラに襲われることもなくなったという。そもそも花粉症になると体で何が起きるのか。銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんが解説する。

「カギとなるのは免疫系を構成する細胞の1つで、全身の身体組織に分布する『肥満細胞』です。特に皮膚や肺、腸の粘膜に多く存在します。この肥満細胞がアレルギー反応や胃酸の分泌に関与する物質『ヒスタミン』を作ってしまう。

関連記事

トピックス

復興状況を視察されるため、石川県をご訪問(2025年5月18日、撮影/JMPA)
《初の被災地ご訪問》天皇皇后両陛下を見て育った愛子さまが受け継がれた「被災地に心を寄せ続ける」  上皇ご夫妻から続く“膝をつきながら励ます姿”
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
武蔵野陵を参拝された佳子さま(2025年5月、東京・八王子市。撮影/JMPA)
《ブラジルご訪問を前に》佳子さまが武蔵野陵をグレードレスでご参拝 「旅立ち」や「節目」に寄り添ってきた一着をお召しに 
NEWSポストセブン
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
オンラインカジノの件で書類送検されたオコエ瑠偉(左/時事通信フォト)と増田大輝
《巨人オンラインカジノ問題》オコエ瑠偉は二軍転落で増田大輝は一軍帯同…巨人OB広岡達朗氏は憤り「厳しい処分にしてもらいたかった。チーム事情など関係ない」
週刊ポスト
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
NEWSポストセブン