「肉や魚のたんぱく質であればゆっくりと時間をかけて消化吸収されますが、粉末やゼリーの状態で一気に摂取すると腎臓に大きな負担がかかる。
“1日分の野菜が摂れる”と謳われるドリンクには、食物繊維が不足しているうえ、味をよくするために余分な糖分が加えられていることが多い。野菜が足りないならば、野菜そのものを食べるべきです」(牧田さん)
大西さんは欧米ではフルーツジュースの弊害が指摘されていると話す。
「加工されたジュースは健康効果の高い食物繊維や抗酸化物質を含まないうえに、吸収されやすく、血糖値が急激に上昇する危険があります。実際、ハーバード大の研究でも1日1杯以上飲む人は、糖尿病になりやすいと指摘されています」(大西さん)
本来日本人は1日2食だった
1日3食規則正しく食べること——厚生労働省のホームページにも掲載され、国を挙げて促進されている習慣だが、時代遅れになりつつある。
「もともと日本人は朝と夜しか食べない時代が長く、それでも充分健康だった。徴兵制度に伴う軍事演習で空腹になる人が増えたことや学校給食の普及など複数の理由から、明治時代以降に1日3食が市民に広まりましたが、現代人の標準的な活動量を考えると、明らかに食べすぎです。1日3食にこだわらず、運動量から食べる量を考えてほしい」(秋津さん)
長年、「朝ご飯は元気の源」とされてきたが、トータルの摂取カロリーが変わらなければ、1日の食事を何回に分けてとっても体重の増減に影響しないという研究データが存在するうえ、米インディアナ大学医学部の教授も「朝食を食べるべきだとする研究の多くは、食品業界から資金提供を受けて行われているため、結論に偏りがある」と発言。回数にこだわりすぎずに、個人の活動状況に合わせた適量を摂るのが令和の新常識ということだ。
ただし、内容は栄養バランスのいいものにすることを心がけたい。
「糖質制限ブームが続いていますが、調味料に含まれる糖質まで気にするなど日本人は細かくやりすぎだと感じています。そもそも食事は楽しむもの。海外ではベジタリアン、ヴィーガンなど食事制限を実践する人もいますが、彼らのほとんどはダイエットや健康目的ではなく、思想信条で行っています。モデルや女優がこぞって実践しているグルテンフリーも、海外では小麦粉などのグルテンに対してアレルギーがある人だけが行います。偏りなく、多くの品目を摂取することが大事です」(秋津さん)
一定期間の断食を行う「ファスティング」も人気だが、英イースト・アングリア大学の研究によればファスティングによって子孫に影響を及ぼすことが明らかになっている。過度なダイエットは控えた方がいいだろう。
※女性セブン2023年3月2・9日号