国内

日本が直面する食品輸入に関する4つの危機 「世界で最初に飢えることになる」東大教授が警鐘鳴らす

(写真/PIXTA)

いつか食料に困る時が来るかもしれない(写真/PIXTA)

 かつてキューバの革命家ホセ・マルティは「食料を自給できない人たちは奴隷である」と述べ、高村光太郎は「食うものだけは自給したい。個人でも、国家でも、これなくして真の独立はない」と言った。果たしていま、日本は独立国といえるのだろうか──。

 スーパーに行けば新鮮な肉や野菜が手に入り、コンビニにはすぐに食べられるような弁当や総菜が所狭しと並ぶ。外食ひとつとっても、高級フレンチから、チェーンのラーメン店まで多様な選択肢の中から選べるうえに、それらの一つひとつはさらに細分化している。たとえば「お肉が食べたい」と思ったら、神戸牛でも比内鶏でもアンガス牛でも部位や産地を選び放題だ。

 昨今、多少値段は上がっているものの、いつでもどこでも食料が手に入る「飽食の時代」であることは間違いない。そんな日本から食べ物が消えて、日本人が飢える日が来るなど考えられない──ほとんどの人はそう思うだろう。

 しかしその陰で、現実には、食料を輸入も自給もできずに飢えていく「食料危機」が始まりつつある。『農業消滅』(平凡社)、『世界で最初に飢えるのは日本』(講談社)などで繰り返し危機を訴えてきた東京大学教授・農業経済学者の鈴木宣弘さんが、食料危機のリアルをお伝えする。

 * * *
 現在の日本の食料自給率は、37%。裏を返せば、いま私たちが口にしている食品の半分以上は、海外から来たものだ。つまり、もし食品の輸出がストップすれば、現在流通している食品の半分以上が消えることになる。

 そうなった場合、私たちの食卓は一体どうなるのか。2022年4月に放送された『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)では、農林水産省の資料をもとに「国内生産だけで成人1日分の必要カロリーを供給する場合のメニュー例」が再現され、大きな衝撃を与えた。その内容はりんご4分の1個と焼き魚ひと切れ、米以外は、ほとんどすべてのカロリーを芋でまかなう「3食、芋だけ生活」だったのだ。

 実際にいま、さまざまな要素が絡み合って日本の食品輸入は危機に瀕しており、「芋だけ生活」は目前まで迫ってきている。筆者はそれを「クワトロ・ショック」と呼び、日本に訪れた4つの危機に警鐘を鳴らしている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
雅子さまは免許証の更新を続けられてきたという(5月、栃木県。写真/JMPA)
【天皇ご一家のご静養】雅子さま、30年以上前の外務省時代に購入された愛車「カローラII」に天皇陛下と愛子さまを乗せてドライブ 普段は皇居内で管理
女性セブン
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト
東京駅17番ホームで「Zポーズ」で出発を宣言する“百田車掌”。隣のホームには、「目撃すると幸運が訪れる」という「ドクターイエロー」が停車。1か月に3回だけしか走行しないため、貴重な偶然に百田も大興奮!
「エビ反りジャンプをしてきてよかった」ももクロ・百田夏菜子、東海道新幹線の貸切車両『かっぱえびせん号』特別車掌に任命される
女性セブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
高橋一生と飯豊まりえ
《17歳差ゴールイン》高橋一生、飯豊まりえが結婚 「結婚願望ない」説を乗り越えた“特別な関係”
NEWSポストセブン
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
NEWSポストセブン