ライフ

劇場版『「鬼滅の刃」無限列車編』 主題歌の作詞作曲家が語る「詩」と「歌詞」の違い

観客の気持ちとずれない作詞を心がける

観客の気持ちとずれない作詞を心がける

 二〇二〇年の大ヒット映画『鬼滅の刃 無限列車編』の主題歌「炎」の作詞作曲を担った梶浦由記氏に、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が作詞の裏側について聞いた。

 * * *
――「主題歌の歌詞」を手掛ける際、まずどのような点を心がけていますか。

梶浦:その登場人物が言いそうにないことは言っちゃ駄目だということですね。「僕」って言ってる人に「おれ」と言わせたりはしない。

 また、特定の人物視点に偏り過ぎないようにしています。具体的になればなるほど、齟齬が生じるというか。映画を見終わった人がどういう感想を持つかは、似てるようでそれぞれ違います。あまり具体的になりすぎて「これは明らかにこの人の歌だね」となってしまうと、見た人の感想と違ったときに違和感が出てしまうので、あまり一人の視点に寄せすぎないようにしています。

――そこがキャラソン(役柄名義で出す曲)との違いになってくるわけですね。

梶浦:そこは一番変えなければいけないところだと思います。

――あくまでも三人称に近い視点で描いていく感じでしょうか。

梶浦:そうですね。「僕」って言ってても、少し俯瞰の立場で書いてあげないと、「えっ、そんなことは私は思わなかった」とお客さんが感じてしまったら、お客さんがつらくなってしまいます。「私はそう思わなかったのに、何でそう歌うの?」となってしまうのが、エンディングとしては最も失格だと思うんです。なので、なるべく大きな、俯瞰の目線で書くようには気をつけています。

――言葉のチョイスは、どのように考えられていますか。

梶浦:曲が先にあるので、作詞には文字数の制限がうまれます。「どうしてもここの一行にこれが言いたいんだけど」という素晴らしい文章があっても、どうしてもそれがメロディにおさまりきれず、言い換えないとならないときはとても苦しみます。

 ここでこの言葉を使えたらどんなにいいかと思っても、メロディに合わないとか、字数が足りないとか……。そのときは比喩や他の表現を駆使するしかありません。詩としては完成しているのに、歌詞に落とし込む作業で崩さないといけないんです。そこがいつも一番苦しいところですね。

関連記事

トピックス

裁判が開かれた大阪地裁(時事通信フォト)
《大阪・女児10人性的暴行》玄関から押し入り「泣いたら殺す」柳本智也被告が抱えていた「ストレスと認知の歪み」 本人は「無期懲役すら軽いと思われて当然」と懺悔
NEWSポストセブン
2019年に開始された日本の在留資格「特定技能」
韓国やオーストラリアでもなく…外国人材が円安・ニッポンで働く“現実的なワケ”
NEWSポストセブン
悠仁さまご自身は、ひとり暮らしに前向きだという。(2024年9月、東京・千代田区、JMPA)
《悠仁さま、4月から筑波大学へ進学》“毎日の車通学はさすがに無理がある”前例なき警備への負担が問題視 完成間近の新学生寮で「六畳一間の共同生活」プランが浮上
女性セブン
浩子被告の主張は
《6分52秒の戦慄動画》「摘出した眼を手のひらに乗せたり、いじったり」田村瑠奈被告がスプーンで被害者男性の眼球を…明かされた損壊の詳細【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
出入国在留管理庁の地方支分部局のひとつ、東京出入国在留管理局(東京都港区)
外国人労働者がSNSでシェアする“スムーズな退職ノウハウ”「日本人はその手のお涙頂戴に弱いから…」と解説《日本人が知らないリアル》
NEWSポストセブン
ビアンカ
《カニエ・ウェスト離婚報道》グラミー賞で超過激な“透けドレス”騒動から急展開「17歳年下妻は7億円受け取りに合意」
NEWSポストセブン
2月13日午後11時30分ころ、まだ懸命な消火活動が続いていた
茨城県常総市“枯草火災”の緊迫現場「ビニールハウスから煙がモクモクと」「なにも、わからない、なにかが燃えた」
NEWSポストセブン
二人とも帽子をかぶっていた
《仲良しツーショット撮》小山慶一郎(40)と宇野実彩子(38)が第一子妊娠発表 結婚直後“ハワイ帰りの幸せなやりとり”「いろいろ行ったよね!」
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
「婚約指輪が見つからず…」田村瑠奈被告と両親の“乱れた生活” 寝床がない、お湯が出ない、“男性の頭部”があるため風呂に入れない…の実態【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
オンラインカジノに関する摘発が急増している
「24時間プレイする人や、1度に6000万円賭けた人も…」マルタ共和国のオンラインカジノディーラーが明かす“日本人のエグい賭け方”と“ホワイトなディーラー生活”
NEWSポストセブン
慶應義塾アメフト部(インスタグラムより)
《またも未成年飲酒発覚》慶大アメフト部、声明発表前に行われた“緊急ミーティング”の概要「個人の問題」「発表するつもりはない」方針から一転
NEWSポストセブン
性的パーティーを主催していたと見られるコムズ被告(Getty Images)
《裸でビリヤード台の上に乗せられ、両腕を後ろで縛られ…》“ディディ事件”の被害女性が勇気の告発、おぞましい暴行の一部始終「あまりの激しさにテーブルの上で吐き出して…」
NEWSポストセブン