「若者から学ぶことは多い」と語る

「若者から学ぶことは多い」と語る

◆ドラマに「図解を出す」新鮮さ

 竹内は戦略家だ。映像製作会社『RIKIプロジェクト』を創設して独立したのが1997年。『JINGI 仁義』、『難波金融伝・ミナミの帝王シリーズ』など出演作が大ヒットし、俳優として絶頂期の中で、異例の挑戦だった。

「俺は大工の息子で、モノ作りが凄い好きだったの。図画工作とか、中学の時は技術・家庭科とかが得意で。作品が大分県大会で優勝したりとか、九州大会で2位になったりとかしてたよ。人が作らないものを作る能力だったり、発想力、創造力には自信があった。人と違うことをやるっていうのが元々俺の性格だったし、(映像製作会社の創設は)迷いがなかったね」

 プロデューサーで培った視点は、今回主演の『かっこいいスキヤキ』にも色濃く反映されている。

「俳優をやりながら製作会社を25年ほど続けている人もなかなかいない。そういう役者はいないかもね。石原裕次郎さんくらいなんじゃないの? そういう目線からも、ドラマ作りに対して意見を出しているつもり。あとこのドラマは図解も出てくるんだよ。ショートコントに主人公の心の声、図解がミックスされる。これは初めてのパターンでなかなかないんじゃないかな。実際面白いんだよ。このドラマは『夜港』、『花粉』、『最後の晩餐』、『ロボット』と4つの物語で構成されているんだけど、みんなが経験したことがある出来事だから共感できると思う。それがこの作品の強みで。見た人は絶対宣伝してくれるっていう自信がある」

 放送日は3月18日の午後4時からと、ドラマのゴールデンタイムとはかけ離れた時間帯だ。竹内の紡ぐ言葉には忖度がない。そして、ヒット作になる道筋も具体的に見えている。

「土曜日の夕方はテレビを見る人が多くない。それは仕方ない。俺はこれを一発目から(視聴率が)ドーンととれるとは思ってないんだよ。でも、今は民放のドラマも見逃し配信があるから、とにかく見た人が噂にしてくれるような内容のものを、原作以上につくり込んでいった。カラコンもそうだし、原作と違うハーフ男の設定もそう。見た人たちの間で『面白かったよ』って口コミになれば、見逃し配信で徐々に(視聴再生数が)増えていって話題になる。内容には自信があるから、見てくれれば間違いなく評価してもらえる」

 人気シリーズとなったドラマ『孤独のグルメ』も最初からヒットしたわけではない。原作のコミックは1990年代に連載していたが人気だったとは言えず、2012年にテレビ東京の深夜枠でドラマが始まった。作品がバズった発信源はSNSだった。松重豊演じる井之頭五郎のキャラクターと心の声が評判を呼び、老若男女問わず愛される人気作に。この現象は『ミナミの帝王シリーズ』とも重なる部分がある。映像化した当初は原作漫画が決して話題だったわけではないが、主演を務めた竹内が「どうすれば視聴者に満足してもらえるか」と原作にないオリジナリティーを突き詰めてストーリーを描き、キャラクターも強烈なカリスマ性で絶大な人気を誇った。

「良い作品を作っても、見てもらってナンボの世界だから。プロデューサーの視点で、どうすれば興味を持ってもらえるか考えないといけない。今は宣伝方法が昔とは違うし、SNSとか色々なことを駆使してやっていかないと、ヒットするものもヒットしない。時代に合わせて取り入れていかないと、いつまで経っても時代遅れのくそじじいになっちゃう。今回の『かっこいいスキヤキ』は今までにないパターンのドラマ。見たら絶対ヒーローになれる。幼稚園でも職場でも老人ホームでも、『あんな面白いドラマ見てねえの?』って周りに言えるから。口コミで話題になれば、絶対にシリーズ化できる」

 勝負師の目が光る。『かっこいいスキヤキ』は、国民に愛される人気シリーズのドラマになるか。

後編に続く

◆取材・文/平尾類(フリーライター) 写真/山崎力夫

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