「闇バイト」の勧誘。手続きの説明は手慣れた様子だった(時事通信フォト)
Googleなどの検索サービスでの検索は、言葉の意味を知ったり、公式サイトなどを確認する場合は便利だが、情報としては古いものが上位にくる上、広告が大きな割合を占める。
一方、SNSでハッシュタグ検索やキーワード検索をすると、リアルな口コミや流行などがわかる。また、写真や動画などで視覚的、感覚的に理解できるというメリットも。YouTubeではハウツーが、Twitterではリアルな口コミが、InstagramやTikTokでは流行が視覚的にわかるという具合だ。地震や電車遅延時にTwitterで検索するとニュースより早く情報が得られるが、若者たちは他のSNSも駆使して検索するのだ。
3月、闇バイトの応募者にスマートフォンの契約を求め、有償で譲り受けた容疑者たちが、携帯電話不正利用防止法違反容疑で逮捕された。スマホは犯罪グループなどに転売、特殊詐欺などに悪用された可能性がある。この闇バイトには何と数百名が応募しており、闇バイトが困窮した若者たちにとって身近なものであることがよく分かる。とはいえ大きな決意をして挑んでいるわけではなさそうで、途中でバイトをやめたくなりそうなものだ。にも関わらずバイトから逃げないのには理由がある。
闇バイトでは「お金を持ち逃げされたら困るから」という口実で、免許証や学生証などの写真、自宅の住所や連絡先などを送らされる。犯罪と気づいて逃げようとしたら、写真をばらまくと脅されたり、自分や家族に危害を加えられることを恐れ、言うことを聞いてしまうというわけだ。
仕事は細切れ、「リゾートバイト」強調
広域連続強盗事件を起こしたルフィグループは、リモートで実行犯を募集して強盗をさせていただけでなく、「リゾートバイト」という名目でもTwitterで募集をかけ、フィリピンに呼んで働かせている。フィリピンを拠点に、特殊詐欺のかけ子をさせていた。「暖かいところで遊んで楽しく仕事ができる」「航空機代やホテルの宿泊費などの負担もなし」「数ヶ月で300万円以上稼げる」など、気軽で楽しい面のみ強調して募集したようだ。
SNSで見られる闇バイト募集の多くは、「バイト」「~するだけ」とことさら仕事内容が簡単であること、手軽なバイト感覚でできることを強調する。さらに仕事内容について、お金を運ぶだけ、人を手配するだけ等に細切れに伝えることで、罪の意識も希薄化する。
罪の意識が薄い状態で「~するだけ」の仕事をした結果、逮捕後に、「自分は直接騙していない。お金を運んだだけだ」などと言い訳する人もいる。しかし特殊詐欺の場合、犯罪行為の一部を担っただけでも、共同正犯とされる事例が増えている。その場合、自分が実行しなかった行為から生じた結果にも責任を問われるため、当然、罪に問われることになる。