警視庁犯罪抑止対策本部がツイッターで投稿している「闇バイト」を警告する画像[同部公式ツイッターより](時事通信フォト)
楽して大金が稼げるうまい話があるわけはないのだが、警戒心のない若者の中には、信じて応募してしまう人もいる。
過去に取材したある男性は、「疑いながら、もしかして本当かもしれないと思ってしまった。もうお金を貸してくれる人もいなくて、振り込み期日も迫っていて、藁にもすがる思いで連絡をとってしまった。明らかに犯罪とわかったので手を引いたが、料金には正直最後まで惹かれていた」と語っている。
学校の情報リテラシー授業の内容は学校や担当教員次第
SNSでの闇バイト募集が相次いだことを受け、対策が強化されている。
警察庁から委託を受けた民間事業者によるサイバーパトロールや削除要請の対象は、従来、売春や児童ポルノなどの明らかな違法情報や、自殺を勧誘する投稿等に限られていた。全国の警察はこれとは別に、闇バイトの書き込み約5000件の削除要請も行っている。
2月には、予定より2週間前倒ししてこの範囲を拡大。強盗や殺人、放火、拳銃などの譲渡、臓器売買や人身売買、ストーカー行為、爆発物や銃器の製造、硫化水素ガスの製造なども含むようになっている。「タタキ募集」「受け子募集」などの書き込みや、前後の文脈から犯罪行為の勧誘などに判断できるものも含まれる。
SNSでの闇バイト募集に対しては、警視庁や県警、府警なども個別に警告を送るなどの対策をとってきている。兵庫県警察本部は、これまでは手動でそのような投稿を見つけていたが、今後はAIを使って検出、警告を送信する対策を取る。
SNSを通じた副業詐欺や投資詐欺、闇バイト募集などについては、学校でも警察等からの啓発パンフレットが配られたり、情報リテラシー授業などで触れられることもある。しかし内容は学校や教員によってバラバラであり、ほとんど触れないこともある。
若者はニュースを見ないことがほとんどだ。いくらテレビや新聞などで闇バイトのリスクについて報道が繰り返されていても、多くの若者はこのような報道を目にせず、少なくとも自分ごととは思っていない。若者たちに、このような投稿は犯罪への勧誘であること、闇バイトは紛れもない犯罪行為であること、うまい話はないことを伝えてあげてほしい。