野菜の栄養を“最大化”する食べ方は
だが、現代の日本人が栄養不足、特にミネラル不足に陥っていることはまぎれもない事実であり、栄養素の数値が減少していることと関連性がないとは言い切れないだろう。これについて、立命館大学生命科学部教授の久保幹さんが解説する。
「日本人の鉄分摂取量は1950年には1日あたり約46mgだったものが、2019年には7.6mgまでに低下しています。成人女性の推奨摂取量は10.5mgなので、いま、日本人の多くが鉄分不足に陥っていることは間違いありません」
鉄分をはじめとするミネラルは、骨などの体の組織を構成するほか、筋肉や神経などの働きを整えたり、代謝にかかわる酵素の働きを助けたりと、人体にとって欠かせない栄養素。体内でつくることができないため、ミネラル不足を防ぐには、食事で摂取するほかない。内科医で『腸と森の「土」を育てる』などの著書がある桐村里紗さんが指摘する。
「特に月経のある女性は鉄分不足に陥りやすい。貧血になるだけでなく、エネルギー不足やセロトニンといった神経伝達物質に不調をきたし、うつや不眠などを招きます。全身のあらゆる機能が全般的に低下するのです」
60年前、日本人の平均体温は36.8℃前後だった。ところが、いまの平均は36.1℃前後。平熱が35℃台という人も珍しくない。
「鉄分が不足すると自律神経が乱れ、体温調節機能が低下します。亜鉛やマグネシウムなどの不足も体温の低下を招く。現代人の低体温の傾向は、野菜の栄養素の不足にも一因があるのではないかと考えられます」(久保さん・以下同)
※女性セブン2023年3月30日・4月6日号